つむぎ さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
推理小説を変えた綾辻行人さんが送るホラーミステリー
原作未読。
今作の舞台は夜見山という名の田舎町。病気療養のため母の実家のある夜見山へ引っ越してきた榊原恒一は、転入した夜見山北中学三年三組の奇妙な雰囲気に違和感を覚える。そんな中、恒一はクラスで不思議な存在感を放つ見崎鳴に惹かれてゆく。そんなある日、三年三組で悲惨な事故が発生し、恒一はクラスが置かれている状況を知ることとなる。
綾辻行人さんといえば本格ミステリ小説「十角館の殺人」でおなじみですが、今作はミステリ要素に加え、ホラー要素が入った作品になっています。
序盤から至る所に伏線が散りばめられており、最終話で綺麗に回収する脚本は素晴らしかったです。
ホラー要素はもちろん、ミステリーらしい推理要素、綾辻行人さんならではの意外性のあるラストは一見の価値があります。
キャラクターデザインの原案は「涼宮ハルヒの憂鬱」なども担当した、いとうのいぢさんということもあり、どのキャラも魅力的に描かれていて、最終話まで目立った作画崩壊もなく、安心して観ることができます。
作品の雰囲気に大きく関わってくるBGMもかなり仕事をしており、良い感じに不安を煽っていたと思います。
以下、ネタバレ有りの感想となります。物語の根幹に関わる内容(誰が死者かなど)が含まれる為、未視聴の方は読まないようお願い致します。
{netabare}
この作品の1番の見所は「死者は誰か」という部分だと思うのですが、個人的にこの作品最大のトリックは、副担任である三神が、実は恒一の母方の叔母の怜子であるという部分にあると感じました。
死者が誰であるかということを推理するにあたって、三神=怜子ということは知らなくても問題はありませんし(過去の三組の写真から、副担任がいるのは今年の三組だけということが分かるなど)、その上、登場人物にとって三神=怜子というのは誰もが知っている事実でした。
公然の事実でありながら視聴者(読者)のみが分かっていない点。そして、一人の人物を二人に錯覚させる点は綾辻さんの作品ではよく登場するトリックなので、何冊か綾辻さんの小説を読んでいる自分としては、最終話を観終わった時に「してやられたな」と思わずにはいられませんでした。
余談ですが、三神先生の担当声優の「宮牧美紗代」という名前は、最初の死者である「夜見山岬」のアナグラムとなっています。もちろん実際に声を当てられているのは、怜子の声を当てている榊原奈緒子さんです。
{/netabare}
ホラーが好きな方、ミステリーが好きな方、どちらにも勧めることができる作品です。
ただ、グロテスクな表現が多い作品ですので、そういった要素が苦手な方は注意したほうがいいかもしれません。
気になっているのであれば、観て後悔はしない作品です。