岬ヶ丘 さんの感想・評価
3.2
物語 : 4.0
作画 : 2.5
声優 : 2.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
That others may live
まず「こんなアニメがあったんだ」という率直な驚き。航空自衛隊の航空救難団を題材にしたヒューマン・ドキュメンタリー的な作品。
当時のアニメとして商業的にどれくらいの需要があったのかは分からないが、アニメの多様性という視点から見ると意義深い挑戦作だと思った。ただ総じて地味で認知度も低く、なかなか日の目を浴びにくそうな作品なので、そこは惜しいなと思う。
今から12年前の作品だが、CGに関しては高いクオリティーにあると思う。放送から時間も経っているので、作中で扱っている内容が今では過去のものになっている部分もあるのかもしれない。ただそれでもこの時点での航空救難団の仕事ぶりをしっかりと描こうという姿勢は伝わってきた。
主人公が生と死の厳しい世界で、懸命に任務にあたる姿はかっこよかった。残念ながら救えなかった命のこともしっかりと描いているのもリアルだなと思った。能登さん演じる交際相手とのやり取りや関係性もよく描かれていた。また主人公の上司役の故・石塚運昇さんのお芝居を聞いていると胸に込み上げてくるものがあった。
気になった点もいくつか。まず主人公の声優の芝居にもう少し張りがほしかった。緊急の場面でもあまり緊迫感が感じられなかったのは残念。あとはキャラデザ。女子率が極端に低く男性隊員が多いが、とにかく見分けがつかない。CGに力を入れるのもいいが、キャラデザもおざなりにはしてほしくなかった。最後に主人公がもともとパイロット志望だったという過去はもう少し掘り下げてもよかった気がする。
「よみがえる空」というタイトル回収もなるほどとは思った。ただ他のレビューにもあったが主人公のもう少し成長した姿も見たかったかな。
とにもかくにも地味で重苦しい内容も続くが、ユーモアあふれる描写もあり基本的には良作だと思う。最新の技術でこうした題材をまたやってみても面白いのではないだろうかと期待してみる。
視聴日 18/9/25