きつねりす さんの感想・評価
4.6
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
文学的でしっとりとした美しさが持ち味
個人的な期待値よりはるかに高いクオリティで非常に満足しました。原作&劇場版もチェックしましたが、そのいずれも綺麗に締められていて、それぞれの手法で違う結末に持って行けて、なおかつすっきりとした結末が描けることの凄さを感じました。
内容は女子高生が中年男性をふとしたきっかけで好きになり、その思いを募らせていくというもの。作中でも何度も周囲からは「上手くいかない」だの「ありえない」だの言われながら、それでも折れることのない主人公・あきら。その一途な思いを最初は世間の一般的な見方から遠ざけようとする店長も、次第に自分の心の内を吐露するようになります。店長のモノローグ、店長とあきらのやり取りは文学的にもはっとさせられる言葉が多く、美しいうえにあきらちゃんが更に美しいときたら・・・もう画面いっぱいに美しさが溢れてかえっています。
演出としても、心をときめかせている瞬間の幸せオーラがいい。泡がはじけるような音とともにレースのような可愛らしい模様がくるくると動く独特の表現が素敵でした。少女漫画と呼ばれるものにあまり触れてこなかったので、こういった表現の仕方はかなり印象に残りました。加えてそのオーラに包まれるあきらちゃんが美しい(2回目)。
店長の頼りないオヤジ感、一方その内に秘める捨てきれなかった文学への確固たる思いを持ったダンディズム(?)の両方を見事に演じきった平田さんは流石。一見透明感を持った、ちょっと悪く言うと今時の冷めた若者っぽい風貌ながら胸に熱いものを持ったあきらにまさにこの声!という声で命を吹き込んでくれた渡部さんも良かった。
年の差がある故に気付けない、気付いたところでまともに取り合えないという難しさを抱えながら動いていく二人の距離感をじっくり何度も見たい作品です。いいエンディングだし、可愛い子が可愛い仕草で可愛いことを言っているだけで心が穏やかになります。癒しと哲学の共存、まさしく良作。