kurosuke40 さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
星屑が見えるとき
果実と迷宮・楽園合わせての感想
原作未読
人生、生きる理由は見つけれるかもしれないが、
生きている理由はわからないもの。
「別に望んで生まれてきたわけじゃない」のに、私はここにいるのだから。
果実は、雄二が常識的な手を差し伸べるという範疇を超えて、天音達を救う(ギャルゲー的な)話で、
迷宮は、雄二が生い立ちと上記の異常な行動原理の説明。別にどこか死んでもいいような雰囲気を醸し出しているのは、彼にあるのは使命だけだから。
楽園は、果実で救われた天音達からの返答と、雄二が自分のためにオスロを倒すまでの話。
雄二は、三日間みちるが出てくるのをずっと待ったり、由美子のために死体や戸籍を用意して死を偽装したり、立場を危うくしても蒔菜と一緒に逃亡したり、と
そこまでするかと思えることを平然とやりのける。
それは、雄二が与えられたのは5人を救うことという使命だけで、彼には他には何も目的がないから。生きることさえも。
師匠の麻子は臨床の際に、雄二に使命の先のことを伝える。
きっと戦場で培われた死生観だろう。実力だけでなく運が生死を大きく左右する世界。
「別に死にたくなくても」死んでいく。誰が生き、誰が死ぬのか。何の判断基準で取捨選択されているのかわからない。
もし取捨選択しているとすれば、神様だろう。
麻子は言う。死んだ奴は神様に許された奴だ、と。
それは逆にいえば、なんらかの使命があるから逆説的に生者は生かされているということ。
死は許された証であり、
生きているならば、何らかの使命を与えられており、私たちはそれを知らないだけなのだ、と。
この後麻子は逝った。確かに彼女はこの死生観を雄二に伝えるという使命を全うし、許されたようにしか私には見えなかった。
雄二がクローンの弟との戦闘の最中に、師匠が臨床の際に見た星屑を垣間見たのは、きっとあの夜が彼の使命の1つを全うする夜だったという証だろうか。
私は神様はいるかいないかわからないという立場だけど、
星屑が見えるまで、とりあえず生きておくかと思えるようになりましたね。
なかなか実利的な死生観を教えてもらいました。
蛇足
「恩を受けることは恥じゃない。受けた恩を返さないのが恥なんだ。」
は、印象に残っている麻子の言の1つだけど、感銘は受けたものの、イマイチ咀嚼しきれていない。
類似作品としては、『神のみぞ知る世界』があるけど、
あっちは神様の趣味の延長で、こっちは天使のお仕事って感じ。
一番神様に愛されているのはお姉ちゃんでしたね。