たわし(爆豪) さんの感想・評価
3.7
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
ドゥームズデイクロック
はっきり言うと、勧善懲悪がこの時に終わった。
社会は複雑化し、日々変わり続ける不安定な社会へと変貌したのである。
キン肉マンや聖闘士星矢などのヒーローものは昭和の牧歌的な社会でこそ通じるのであって、不安定な世の中には残念なことにその説得力を失ってしまう。
「世界終末時計(ドゥームズデイクロック)」というのをご存知だろうか?
以下、ウィキペディアからの参照である。
日本への原子爆弾投下から2年後、冷戦時代初期の1947年にアメリカの科学誌『原子力科学者会報』(Bulletin of the Atomic Scientists) の表紙絵として誕生した。
以後、同誌は定期的に委員会を設けてその「時刻」の修正を行っている。すなわち、人類滅亡の危険性が高まれば分針は進められ、逆に危険性が下がれば分針が戻されることもある。1989年10月号からは、核兵器からの脅威のみならず、気候変動による環境破壊や生命科学の負の側面による脅威なども考慮して、針の動きが決定されている。
これまでもっとも分針が進んだのは、米ソが相次いで水爆実験に成功した1953年と北朝鮮の核開発による脅威が高まった2018年1月の2分前、もっとも戻ったのはソ連崩壊により冷戦が終結した1991年の17分前である。
この国に限らず。。相次ぐ気候変動、少子高齢化などに加えて、人への根本的な不安がこの「デスノート」や、以前にも紹介した「ダンガンロンパ」などの作品に反映されている。
考えてみれば、「約束のネバーランド」や「北斗の拳」などもそういった終末論から来ているとも言えなくはないが、あちらはどちらかといえば話を未来やファンタジーにすり替えているだけであり、どうしても「現実の日本」となってくると本作の方が現実的である。
「なぜ人を殺してはいけないのか?」という問いに対し、「道徳心があるなら」とか、「法律が許さないから」というのは実は正当な理由にはならない。
「道徳心」があろうが、「法律で縛られて」いようが。。人間そのものの衝動は「その人自身の判断以外の何物でもないからだ。」
人はいくらでも現実は捻じ曲げられるし、価値観が変わることはいとも容易いことである。
情報が氾濫し、何が正しくて何が間違っているのかも捉えようもできないこの社会に、もし個人に「デスノート」のような核爆弾のスイッチを持たせると、そのまま破滅してゆくことも考えられる社会なのである。