じん さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
私の見たうちの最高傑作アニメ。
レビューはタイトル通りだ。この映画は80分という狭さながらSFの世界観、登場人物の人間関係、メッセージが詰まったまま綺麗に完結している。
この作品について語り出すとキリがないが、各所に見られる暗喩が非常に効いており、見るうちに画面の中を探して目が走り回っていた。
この作品が非常に上手いと思わせるのは、レイアウトだろう。画面の中の配置が台詞にマッチして対比を演出したり、同一性を描いているところには驚かされた。見終わってみると実は戦車の弾薬、素子の揺れ、バトーの腕、ゴミ回収業者の走り方、その全てが均整的だと気づく。
台詞と声色によって人間関係が浮かび上がるという、映像化におそらくすこぶる遠い文学的な要素がいくつも見つかっている。
エンタメ性を削っているように見えるらしいが充実感に足りないところも見つからなかった。
シリーズの中でも人を選ぶ作品とよくいわれる。確かに享受という類いのエンタメではない。
このように作られておきながら知名度は足りないような気がしている。放映からこれだけ時間が経ってしまうと話題にもならない。この映画のファンとして悲しいことだ。
この作品(原作も含め)から30年の時間が経って、専門用語も我々に近いものとなった。我々が同じく考える、登場人物の私を決定する謎の存在ゴーストについてこの作品を見ながらコーヒーでも頂こうではないか。