じん さんの感想・評価
4.5
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
感覚と論理の両立の難しさを示してしまった残念なアニメ。
タイトル通り。この作品は2クールの間にいろんなものを詰め込みすぎている。と、何度も見た私からも言わせてもらう。当時に見た人の多くがこのアニメのストーリーについて意味不明だと言っていたらしい。結局このアニメは村上春樹の小説のように議論を許す内容(実際に劇中では同氏の作品が登場している)という言い方で決着がつけられた。
私なりの解釈はあるがここで披露する気はない。このレビューを見た人には自分の目で見てほしいので導入程度の説明をしておこう。
ストーリーは難しい。作画とともに暗喩で染められており、一見意味不明。私が解釈を見つけたのは勤務中だったように、見ている最中に感じ取るのは至難の業であると言っておく。なんとなく言いたいことが伝わるだけで大部分の構造は謎に包まれている。仕掛けが多すぎるパズルといえばいいのかもしれない。実際にこのアニメを面白いとして勧めるのはあまり親切ではない。タイトルに書いたように、感性に訴えるような場面もあればストーリーの大筋のヒントは中盤の場面によって論理的に導き出すことを要求される。はっきり言ってこれ、わかりにくすぎる。分からない人からしたらこのストーリーは破綻していると言わざるを得ないだろう。私の中で好きなアニメなんだけどね。
少女革命ウテナに続く監督色の強いオリジナルアニメなのだから、で済んでしまいそうである。個人的にはエヴァンゲリオンの再来みたいなものだった。実際にスタッフは関わりがあるらしい。あとは自分で調べてほしい。
作画、何度か顔が崩れたりしていた。色使いからエフェクトまで、暗喩が豊富に盛り込まれている。わかると結構面白い。このアニメは女子がメインターゲットだったのか男性キャラにしてもなかなか女々しい。なにかって、表情が。
音楽は古き良きARBの楽曲がリミックスされて多用され、独特の雰囲気を作っていた。また劇中に登場する劇団の様子もその要素の一部だ。ただサウンドトラックは少し貧弱だなあと感じる。ここにも力を入れてほしかった。
声優は最初棒だと言われていたが、役としては別に難しそうなところがあるわけでもないので私は気にならない。
この話の中で、15話は主題歌が変わり、また物語の大きな分岐点となったため、特に注目されているようだ。実際に心情描写とその暗喩、きれいな対比、社会批判といった主張がしっかりと棲み分かれており、私も度肝を抜かれた。
ここまで散々にこの作品の問題点を指摘してきたが、同時に私が好きなのも事実である。
いつもと違うアニメが見たい、という人は一度視聴してみると良いと思う。