毒舌Z さんの感想・評価
2.5
物語 : 1.5
作画 : 4.5
声優 : 2.5
音楽 : 3.0
キャラ : 1.0
状態:観終わった
ほのぼの秒殺アニメ
ほのぼの癒されるアニメが観たかったんです。
しかし終わってから振り返ってみると、アバンタイトルの時点で私の評価は決まったんでしょう。
成人した人間が分かってはいけないんでしょうが、自分と同等か自分より体格の良い相手と暴力を伴う喧嘩になるのはまだ分かります。
ですがごめんなさい、{netabare}杖を使っているようなご老人に手を上げるような人間は生まれ持った性分で、更に老人が倒れた時点で我に返るでなし、さらに追い打ちをかけようとする奴は脳に欠陥があるとしか思えません。
というよりキレて我を忘れる人間というのは、それを完治させるのは不可能という説を私は支持します。考えて相手に怒るのはわかりますが、咄嗟に手が出る輩は人間でなくケダモノです。
“重鎮を殴って~”というのは観る前から聞いていましたが、思っていたのとレベルが…
パワハラが有ったとか誰かを庇っての行為とか小突いた程度とか、そういうのでも無かったんですね…
アニメを観て初めてドン引きしたかもしれません。少なくとも主人公ではダントツですね。
せめて館長はもっと若い人にするとか追い打ちは無しにするとか、遣り様なかったんですかね。“杖”は伏線としてなら、後述しますが寧ろ最悪です。{/netabare}
島に行かせた理由も“「人間として欠けている部分」を見つけさせるため”って、親父さん、田舎に送るより直ぐにアンガーマネジメントを受けに行かせてください。ヤバいレベルですよ?
ですので、初手の段階で主人公が私には完全にアウトでした。
島に行かせる理由は、もっと別の理由にすべきだったと思います。
いえ、アニメですからね。ただ、アニメとはいえ、さすがに見たくなかったかな~… 格闘アニメではないんですから。
勝手に一つ擁護するなら、ひょっとしたら制作者さんは暴力を伴う喧嘩をしたことがなく、周りでもそういう事を見たことが無かったのかな。嫌味ではなく、もしそうなら人としてみたら良い事だと思います。ただ、創作物を作る方としたら、ちょっと経験不足になるのではと思います。想像ですよ?
現実であれがあったらどうなるか、想像でなく予想がつく人間の中には、どうしてもお尻の穴がキュッとなる人もいるのではないしょうか。
「そんなしつこく文句が有るなら、なんで最後まで観たのか」って言われるかもしれませんが、“ほのぼの”したかったんですよ。
ですから、あんなシーンが有ってもここでの評価も高いんですから、きっと大逆転があるんだろうと期待もしたんです。
舞台は原作者の居住地がモデルだそうですが、だからこそ美化しすぎ、というより良い人ばかりとしたかったんじゃないですかね。それか地元民だから余計に余所者がいかに大変かを理解できなかったか。
原作者が若い(想像)のもあるかも。
勿論絶対の法則ではないですが、田舎って旧街道から離れるほど閉鎖的になります。ましてや道の終点にある集落や離島は…
嫌味で無く、“離島でもそんな余所者を受け入れる風土の地もあるのか”と興味が湧き、「五島列島 閉鎖性」で検索したら、すぐ答えが出ました…
田舎の人は大らかで優しいというのは幻想です。
“すぐ帰る客”と“しばらく住む余所者”への対応は、全く別物です。というか、客ですらその家への客でなければ…
人の入れ替わりが激しい都会ですら集団単位で見たら同じなんですから、当たり前の話ですけどね。
田舎暮らしに憧れている方にこれだけは言わせてください。本当に暖かい人情優しさが発揮されるのは、“株内”や“顔をよく見知った近隣の仲間”へです。特にお年寄りほど。
異物へは細胞のように働いて…ではなく、距離を取りつつ背後から小石を投げ続けるように排除しようとします。
あの主人公の様に「余所者」「血縁者無し」「後見人が若い」「男性」「独身」「一人暮らし」「若造」「愛想無さそう」「自分から受け入れられるため積極的に動いていない」「自宅に籠る仕事」「(習字を教えに来たのではなく)集落の利益にならない」「(おそらく)消防団に入っていない」となると…受け入れられなそうな要素は、いったい何役付くんだろうといった感じです。
無論例外が無いとは言いませんが、両方の立場から見たらそんなものです。
というのを身近で知る機会が有ったか無かったかで、ここへの引っ掛かりは違うのでしょうが。
{netabare}まぁそこを入れるか入れないかは、入れなくても全体の話が面白ければいいんでしょうがね。
しかし主人公の心の成長において人間関係に焦点を当てるなら、田舎の閉鎖性は避けて通るべきではなかったと私は思いますけどね。リアリティが無いという批判を、甘んじて受けなければならなくなりますし。私としては1話使わなくとも、何かしら受け入れられる切欠の描写を欲しかったです。
子どもたちが皆直ぐ懐くのも、ちょっと分からなかったですし。そこも理由やもっと切欠とかあったほうが良かったのでは?
そこ等辺が無いんで、全て予定調和に見えるんですよね。
だからラストも私は大して感慨は無かったですね。{/netabare}
ギャグシーン{netabare}は岩場で頭打ったりとか、ちょっと危険なシーンが多かったかな。
勿論アニメでの話ですが、そっちの方面のギャグアニメだったらいいんですけれどね。ですが、ハートフルコメディとして笑わせようとするなら、方向性が違うんじゃないかと思います。
そしてギャーギャー叫ぶのが多く、ちょっと煩かったです。{/netabare}
まぁ創作物のギャグシーンて、積み重ねも大きいですよね。そこまでに作品を好きになっていれば笑えますし、良い印象を持てていなければ同じシーンでも笑えなかったり。
ごめんなさい、私は後者でした。
各話ダラダラ…いえ、ほのぼの進んでいましたが、結末に向けての館長との件は急に駆け足過ぎだと思いました。
{netabare}杖を持っている時点で相手が丈夫でないことくらい猿でも最初から分かるでしょうに、主人公が殴ったことを急に反省するのは唐突過ぎです。
1話のとき後からも杖に気付いていなかったのなら、カッとなると一切何も見えなくなるという、それこそ恐ろしい話です。
主人公の成長どころか、異常性を強調したかったのでしょうか。
制作者としては暴力への反省は入れなければという意識はあったんでしょうし、それは絶対入れなければ物語は成立しないと私も思いましたが、この流れでは“やはり主人公は頭がおかしい”としか見えませんでした。
母親の心変わりも、あっさり過ぎかな。
ただ、最後の書は良かったんじゃないですか、人は石垣っぽくて。{/netabare}
声優さんは子供の声が残念だったように感じました。終盤は少しだけ上達はしていたようですが。
でも絵は綺麗でしたね。
劇中の音楽は気にならなかったですが、OPの曲調からすると、制作者はどういう方向性のアニメにしたかったのかと疑問です。歌詞は内容に合わせようと必死ですね。
ほのぼのというので期待して観たら、思っていたのと方向性が違ったかな。ほのぼのを秒殺されました。
田舎の人々の暖かさや主人公の改心など、宗教の勧誘のオバサンの話しのような、表向きの都合がいいところばかりを見せられているようなアニメでした。
ですが1話で引っかからなければ、ほのぼのとしたいいアニメだったのでしょうかね。知らないですけど。
ごめんなさい、ちょっと追記を。漢字の間違いもついでに。
2018.9.23 初稿