8ta さんの感想・評価
4.7
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
未だこれ以上ない感動作。
※ブログからの抜粋です。映像なども一緒に観たい方は宜しければこちらをご覧ください。
https://hachitabotchst.hatenablog.com/entry/2018/09/19/222740
今更ですが最近改めて見返したのでレビューをしたいと思います。
言わずと知れた不屈の名作ですね。
個人的にはこのアニメは音楽が群を抜いて素晴らしいと思っていて、OP・EDもさることながら、作中で使用されているBGMがどれも神懸かっています。
中でも「願いが叶う場所」は、映像がなくてもイントロを聞いただけで色んなシーンを思い出しちゃう名曲です。流れた瞬間にもうアウト。重要なシーンの半分くらいは音楽の力で泣かされている気がします。
CLANNADの個性的ともいえるキャラクターデザインについては賛否両論ありますが、決して作画自体が悪いわけではないので(むしろ良い)、まだ見たことが無いという方はとりあえず一度観てもらいたいです。私がお勧めするアフターストーリー後半までとなるとかなり長くなるので時間はかかりますが、他のどのアニメを犠牲にしてでも、アニメ好きならこのアニメは絶対に観ておくべき一本だと思います。
で、肝心のお勧めシーンについてですが、皆さんご存じの通り泣けるシーンは全24話中に数え切れないほど出てきます。
その中でも私が「これは反則やろ・・・・・・」と思わず涙腺崩壊したのが18話。
「主人公の岡崎朋也が電車でヒロインの渚を回想するシーン」です。
朋也はいなくなったヒロインについて残された子である汐(うしお)に説明しようとするも、突然言葉に詰まります。美しい想い出となったはずの記憶たちが突如、走馬燈のように朋也に襲いかかったのです。
そして流れ出る不本意な涙。失ったものの大きさにここでようやく気づくんですね。
ただ、このとき朋也は笑うんです。それも力なく、今この現実が信じられないとでもいうかのように。
残された潮のために、必死で父親の威厳を取り繕(つくろ)うとします。悲しいはずの記憶をなんとか笑い話に変えようと。
でも、駄目だった。
そして独り言のように呟くんです。
朋也:「なぎさ・・・・・・なぎさ・・・・・・」
私:(こんなん反則やろ・・・・・)
ここはアニメ史上最高のシーンだと思います。観始めてかれこれ10年近く経ちますが、これ以上素晴らしい「泣き方」をするキャラクターは未だに知りません。声優である中村悠一さんの演技も見事としか言いようがありませんし、男のキャラクターでここまで感情移入したのは初めてです。もう、嗚咽ものですよ。
涙を流す瞬間の朋也の表情は忘れられません。画面に目を凝らすとよくわかりますが、もう泣く前から目が虚(うつ)ろなんですよね。そこから既に演出は始まっているんです。
呆然とした表情から涙が落ちる瞬間を見たときは、マジで時間が止まりました。
どうやら私は、このような本人の意思とは別に流れる思いがけない涙に弱いみたいです。
「登場人物が死ぬ」というのはこの作品に限らず他の作中でもよくある事です。ただ、このシーンに限ってはそのような「事実」だけで表現を終わらせていないところが、他の作品との一線を画しているポイントだと思います。
甘美な想い出が突如絶望へと変わる気持ちの「落差」。走馬燈として呼び起こされる想い出たちの迫りくる「勢い」。この感情や記憶の「動き」が、通常の「死んだ」という事実に加えられることで、これまでには感じられなかった圧倒的とも言える悲しみの感情を生み出したのではないかと思います。
これ以上泣けるシーンには、未だに出会えていません。おそらく今後も一生出てこないと思います。