どどる さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
同性愛と異性愛の戦い
表にはわかりやすいロボットアニメの戦いを掲げてありますが、このアニメの本質は+αの部分です。
ロボットアニメの勇敢で真摯な主人公、優しく純粋なヒロイン。
このお似合いのベストカップルという強敵に、同性愛が立ち向かう話でした。
モチーフは必ずしもロボットではなくてもよかったですが、姫子とソウマくんの男女2人がとてもお似合いで、幸せになるべき応援したい男女であることを提示するのには分かりやすい形式でした。
すでに幸せそうな男女カップルが成立している。
同性愛にとってこれ以上の強敵はそうそうないでしょう。
中盤、自分の気持ちを必死であきらめようとしている千歌音ちゃんの演技は抑えめですが分かりやすいです。
千歌音ちゃんが必死におのれをころして我慢するのもしかたありません、姫子とソウマくんはめっちゃお似合いなのですから。
そのお似合い指数は高く、どちらの愛が勝利するかはなかなか判別がつきません。
しかし、最後はあいまいではなく明確に決着がつきます。
そう思って最初からこのアニメを見ていれば、確かに最初からずっとここに着地するために動いていました。
1話のラストに印象的な、ひとり吠えるソウマくん、やや隅で幸せなキスをして終了している二人の構図があります。
そこで示されていた通りの決着になりました。
最終回、ソウマくんの「いま俺に出来ることはせいぜい地球を救うことくらいだ」というのも涙を誘うセリフです。
「お前たちのためにケジメをつけたいんだ。ふたりっきりで話したいこともあるだろう」というソウマくん。
なによりも大事な姫子を幸せにできるのは自分ではないこと、姫子を幸せにできる千歌音ちゃんを守ることができないことを知ってしまっているのが分かる台詞です。
地球は守れても、ソウマくん個人にとってほんとうに大事なものは守れない。
〆に翼兄さんが言う「大事なものを守れる男になれ」が効きます。
今回は守れなかった。
ラストのラストに小さな幸福の可能性が提示されるのはお決まりながら、このアニメによく合ったささやかな終わり方でした。
あらすじみたいな感想になってしまいましたが、主人公の、主人公の千歌音ちゃんをはじめとして主要3人はみな好きになりました。
とくに千歌音ちゃんの感情が画面から見えるシーンがこのアニメのもっとも素晴らしいところです。