Dkn さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
盗っ人〈どろろ〉とヒルコの少年〈百鬼丸〉
第一話は百鬼丸の生い立ちと、飢餓に苦しむ乱世の中たくましく生きる“どろろ”との出会いから始まります。
百鬼丸の父「醍醐景光」は己の欲望を叶えるため生まれてくる我が子の身体を48体の魔物に生贄として差し出し、
代償として生まれてきた百鬼丸には手足や目など48箇所の欠損がありました。父に売られ生贄となった百鬼丸には
蜿蜒と妖怪達が付き纏い、旅の道中、常にその命を危険に晒すこととなります。
1969年に作られ白黒かつ作画枚数も少ないですが、手塚治虫が日本のアニメーションに取り入れた手法である
リミテッドアニメーションの妙を発揮し、鉄腕アトムから主要メンバーとして関わり続けるスタッフの一人、
監督:杉井ギサブローの手により貧しい乱世の仲で紡がれる緊張感を持った怪奇時代劇として作られています。
主題歌と“どろろ”の明るさが陰鬱な時代に描かれる人の悪意や妖怪の残虐さを洗い流してくれるのも良い。
作画枚数が限られた中、百鬼丸が切り倒した橋の描写をカットを挟みながら崩れ落ちるまでワンショットで
アニメーションさせ描ききる場面など映像的にも挑戦が見られ、今の時代に観ても驚く点はありそうです。
ただ、全編通して面白いというより設定の部分で勝っている作品なのでひとつひとつのエピソードは
画作り含め緊張感があっても中だるみすることがあると思います。全26話で物語が二転三転することは無く、
二人が世直ししながら最初の伏線や謎を最終回付近でバタバタと回収する作りになっています。
1話のインパクトほどパンチがあるストーリーでは有りませんが、当時の新ジャンルを切り開いたアニメで
多くの作品に魂は受け継がれていると思います。どろろの謎や立ち位置含めてリメイクも楽しみだな。