Tom さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
青い鳥
青い鳥は愛する人の傍に居る為に「偽って」人間の振りをしている。
時折、自身の本質である、「空を飛ぶ」ことから離れられずに。
そして見抜かれてしまう。
リズは多くの動物たちに囲まれているが、全ての生き物が、違う種の生き物だ。
彼女は、最終的には「ありまのままのあなたで居るべきだ」「それが私の愛だ」となるのではないだろうか。
あるべき。あってほしい。エゴイズム?
人間も、一人一人違う生き物だ。きっと彼女は、どんな存在と心を通わせても、
最後には、あなたがあなたらしく居る為には、と、最後には独りを選ぶのではないか。
だから彼女は森に、一人で暮らしているのではないか。
青い鳥は偽りを見抜かれ、人ではないからと、違う生き物だからと、共に生きれないと言われて。
リズを愛しているから、彼女の望みを叶え、空へと。
そこには、互いの「愛」があるのだ。
しかし、互いの「一緒にいたい」という想いが、「それ」に負けてしまうのは何故だろう。
そうある「べき」。そうあるべきものを、そうさせない「悪」。何故?
みぞれは「偽って」いる。のぞみの傍にいる為に。
偽りは、見抜かれてはいけない。カードは、一枚開くと、どんどん開いてしまう。
だから、彼女はカードを開かない。言葉数少なく、自分をさらけ出さない。それがリアルで共感出来る。
のぞみはとても人間的で、相手を操作する行為を行う。突き放すことで、結びつける。
自分がきっかけを与えたからこそ、悔しい。
オーボエの覚醒と言われるシーン。
「愛」を。みぞれは愛を鳴らしている。愛していると。
孤独だったのだ、青い鳥もまた。傍に居たいのだと。ただ、傍にいたいのだと。違う生き物だとしても。人間でないと知られてしまったとしても。
だけど、青い鳥は愛しているからこそ、飛び立ったのだと。それでも尚、愛していると。
こんなに強く愛を鳴らしているのに、のぞみには「自由」を望む声のように届くのだ。強く強く、自由を求める声として届くのだ。
何故?
──このシーンの泣けるレベルは半端ない。
楽器の演奏と、演者の表情、動き、それで表現されたシーン。京アニの泣かせ方のバリエーションが、最近本当におかしいと思う(褒めてる)。
ヴァイオレットエヴァーガーデン、響け…。本当にずっと泣かされてる。泣ける作品が好きな私としては心底喜ばしいことです。──
そして、のぞみは操作しようとする。自分より下の存在のままでいてほしいという思いもあるのかもしれない。
その存在を手放したくないと足掻く。結びつけようとする。元の関係を望む。
それに対して、みぞれは、ただただ、傍にいたいのだと。孤独だったのだと。それが今は違うのだと。だから、あの演奏が出来たのだと。
音のない口が「頑張ろうね」を縁取る。それに応えたかったのだと。そして、応えれたのだと思った。のに、のぞみは泣いている。
そして、カードをついに開く。
この時、やっと、お互いの「愛」や「べき」を通り越して、「好き」だけを伝え合う。
リズと青い鳥とのぞみとみぞれの違いは、そこだと思う。
そして、二人共が学校というシステム、カゴの中にいるからこそ、彼女たちは一緒にいることが出来たのだと。
ハッピーエンド?
──個人的には、青い鳥の偽って傍に居る心情が、とても共感出来てしまって。みぞれの口数少ないあの感じとかも。
私も、好きな人が居るけど、私という人間の生い立ちや、性質、そういったものがあまりにもヘヴィなので。
何も相手に自分のことを伝えれずに、それでも傍に居たくて。でも、一枚もカードを開くことが出来ず。
そうするとどうしても、言葉が出てこなくなってしまって。
あまりにも口下手というか、口数の少ない人間になってしまっていて。
私も歌でなら、愛を鳴らせる人間なので、オーボエで愛を鳴らすシーンが、余りにも、響いて。泣けて泣けて。余韻で更に泣けて。
帰りの車の中でひたすら泣いて。目をパンパンに腫らして帰りましたw
孤独でなくなった時の暖かさ。慕う喜び。傍に居たい。でも、居る「べき」でないという葛藤。その価値が、自分にないのだと。
ただ一緒に居たいから居る。ということが選べたら。どれだけ生きやすくなるだろうかと。
そう、私もあれたらと。飛び立ってしまいたくは無いなと。振り向いて、貰えたら、と。
…リズと青い鳥での飛び立つ、は愛しているからこそ、飛び立たなくては、と言われて、受け入れて飛び立っているので、
私の逃げ腰のそれとは、全然意味合いが違うのですがw
(個人的には、アールトがとても素敵に見えたので、いやいや、独りちゃうやん、「また明日ねアールト」とか声交わしてるやん最高やん!ってなってました←)──
※当時見た後書いた別のところのレビューをそのまま持ってきた