タマランチ会長 さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
心をえぐられる
いじめは、被害者、加害者、そして傍観者の3者の立場があるといわれていますが、この作品はどの立場の人間の心情も描けていますから、よほど鈍感な人じゃない限り誰かには共感するだろうし、トラウマをえぐられます。とくに、いじめる側だった主人公が、自分のいじめが原因で逆にいじめられる立ち場になり、自殺を企てるくらいの精神状態になりますから、共感できる人は多いのではないでしょうか。
私はいじめを散々受けていた立場でしたが、この映画を見て思い出したのは、自分が傍観者の立場で見ていた、酷いいじめを受けていた女の子のことでした。35年ぶりの同級会に、その子の姿はありませんでした。ものすごく気になったし、取り返しのつかない、悪いことをしたと鬱々とした気分になりました。
夏休み明け直前、NHKがこの映画を教育テレビで全国放送しました。NHKニュースでは8~9月の小中学生の自殺について連日放送していました。この映画の破壊力はハンパないです。文科省が推薦するのも当然でしょう。
EDのaikoの主題歌。メロデイーが切ない。速攻で覚えてカラオケに行きました。その後、しばらくこの曲が頭の中で回って、そのたびに子供のころの嫌な思い出がよみがえり、すっかり鬱になりましたよホント。もう一度観たい気もするけど、今はできません。もう少し時間が必要なようです。
この映画が公開されたのは16年。「君の名は。」「この世界の片隅に」と同じ時期です。この年はアニメ史に残る名作が同時に生まれた稀に見る当たり年だったのですね。「ナウシカ」「マクロス」「ビューティフルドリーマー」の84年以来の当たり年として記憶しておきたいと思います。