Mamo さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
誘拐犯と不幸な少女の、甘い日常と狂気に染められた愛の逃避行
9話までみた感想。
最初に言いますが、私は鬱アニメが好きです。
人の苦労、挫折、絶望を存分に描いている分、物語を最後まで見た時に得られるカタルシスが大きいからです。つまるところ、個人的に一番感情移入しやすいからです。
このアニメも、最初はそういう気持ちで見ていました。けど、流石に言わせて欲しい。
この作品の主人公が最悪すぎる。9話の展開はないだろう。
過去に色々辛い出来事があったらしいが、言動、行動に何一つ共感出来ない。
そして何より、救いようのない一途なサイコパス。
彼女の行動原理は全て、誘拐して手に入れた天使、神戸しおちゃんの為。愛する人(しおちゃん)との居場所、「ハッピーシュガーライフ」を守る為ならどんな手段も厭わない。
敵は排除する。自分の生活を邪魔する奴はとにかく殺す。{netabare} ついには、親友さえ手をかけてしまった。 {/netabare}
さとうは「本当の愛」を言うものを知りたかった。しおちゃんとの生活を経て、彼女は愛を知った。だが、それが裏目に出てしまったのだ。恋は盲目とでも言うべきなのか。今のさとうはしおちゃんとの生活を守ることしか頭にない。それ以外は何も考えられない。
第9話でしょうこが{netabare} 「私があんたを、光の下に連れ戻すから!」と言っていたのにも関わらず、帰ろうとした後にさとうが発した台詞が「ねえ、警察には言わないなんて、どうして信じられると思うの?」というものだった。
ねぇ、しょうこのさっきの話聞いてた?というレベル。改心する気など微塵もない。今までの生活が脅かされることへの心配しか考えていない。本当に「しょうこちゃんには何も感じない」のであったのだ。そして、口封じの為にしょうこも殺害.....。{/netabare}
それも悪いことをしたとは思っていない。だって、愛の名目で行うことなら、何をしても正義だから.........。やっぱりサイコパス過ぎる。
この作品のキャラ達はみんな個性的で好きだ。
それぞれの目的のために行動し、話が進むたび、「神戸しお」を巡って物語は徐々に唸りを上げる。ストーリーの構成もとても上手く、内容は全然薄っぺらいことはない。
そして何より、この作品はアニメスタッフに恵まれた。
斬新な演出の魅せ方、練られた作画や効果音で恐怖を唆る、迫力あるホラーシーン。
サスペンス要素のあるアニメとしては及第点以上である。素晴らしいと思う。
だから、この作品が私は好きだ。これからも見続けようと思う。
10話を見て
{netabare} 今回の話で、少し考えが変わった。しおちゃんはさとうのことを本当に敬愛していると言うことがよく分かった。さとうは嫌いだが、しおちゃんがさとうと居て幸せなら、それでいいかな、と思う。しおちゃんは正直あさひの元に戻って欲しいのだが、二人でずっと暮らしていくENDも悪くはない。彼女等の愛が歪んでいることには間違いないが。 {/netabare}
ここから、最後まで見た感想です。
{netabare} ................マジかよ.....。こんな終わり方あり.....???
誰も救われないBAD END。
キャラクター達の末路
松坂さとう......心中しようとしたが、結局しおを庇ってひとりで死亡。しおちゃんとの愛を噛み締めながら、満足そうにしてあの世へと旅立った。
神戸しお.........さとうに生かされて、九死に一生を得る。永遠に「ハッピーシュガーライフ」の中に心を囚われてしまうことに。(本人は幸せそうだが、客観的に見たら精神崩壊となんら変わらない)
神戸あさひ......行方不明の妹(しお)をようやく見つけ出したと思ったら、廃人と化している。これから、「ハッピーシュガーライフ」に囚われたしおと向き合わなければならない。
三星太陽........さとうの叔母に侵される。しおちゃんもいなくなる。最後には廃人と化した。
飛騨しょうこ..警察に通報されることを恐れたさとうに、口封じの名目で刺殺される。
さとうの叔母..マンションを放火した容疑で逮捕。
しおちゃん........なんてことだ。さとうよ、生かしてやりたい気持ちはわかるが、この事までは流石に考慮してなかったんだな........これからしおは、二人で築き上げるはずだった夢のお城を夢想し続けながら生きていくことになるだろう。あさひ......これから大変やぞお.......。
それにしても、三星くんまじで可愛そう。誰か救ってあげてこの人。ロリコンで変態だけど、彼の末路はあまりにも酷すぎる。さとうの叔母がとどめを刺す結果になったとは......予想もしてなかった。
{/netabare}
こんなドロドロして胸糞悪いアニメが、「面白い」と思えた理由は、やはり
①狂ったキャラクター達が織りなす群像劇。
②「神戸しお」を巡って、キャラ達の目的、行動が加速していき、徐々にひとつの物語へと収束していく爽快感。
大きくこの二つだろう。
②に関しては本当にビックリした。みんなそれぞれのキャラクター達は目的を果たすために行動する。その過程で、別のキャラ達と徐々に関係性が絡まっていき、どんどん色んな奴らを巻き込んで物語が繋がっていく。まるで竜巻が周りの物を巻き込んで、唸りをあげて勢いが増していくように。
そして皆んなが皆んな、間違った選択をしてしまったが故のこの結末。ストーリーとして完璧な終わり方である。とんでもねぇアニメだったなぁ。
でもとても見応えのあるアニメだった。本当に見てて楽しかった。
こういうアニメ増えないかなぁ。 終わってしまったのが本当に悲しい。只今鋭意ロスタイム中です。
これから見る人に向けてわかりやすく言うと要するに、
ただ狂った奴らが暴れるような薄っぺらいアニメじゃないですよ、ということ。
ホラー系、サスペンス系、百合系が好きな方は、絶対に一見の価値ありです!!!
甘くて苦い、二人の愛の逃避行。逃げずに最後まで見届けてあげてください。
素敵なアニメをありがとう。そしてさようなら。ハッピーシュガーライフ。