芝生まじりの丘 さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
ゴシックなマスタード。
"古き良きアメリカ"的な色彩の見せ方が非常によかった。別に自分はアメリカ好きでは別にないのだけれど、純粋に綺麗だし、コンセプトが感じられて良い。ゴシックで、媚びないキャラクタデザインも好み。物語もキャラクタをポイ捨てしていない感じが良い(ただし刑事たちは正直存在意義が??だが)。ときたまグッとくる瞬間もある。蝶と花の演出とか、いちいち簡素ながら味のある演出が良い。OPもアイキャッチもカラフルでお洒落。バトル要素の重要性がほぼ皆無で、それより人間の営みを大事にしている感じが良い。人々の暮らしに対する落ち着いて暖かい目線が感じられるのが良い。
戦闘が非常に地味なのもグロテスクさを演出できていて良かった。(あまりに敵が見掛け倒しなのはやや残念だが。)
戦いの目的の正当化をほぼ完全に捨てているのはこの手の作品では珍しいことで大変良いアプローチだったと思う。最近のロジカルで人間味の薄い作品にも見習ってほしい。
と、まあ良いところはたくさんあり、特に中盤は素晴らしかったと思う。ただ、個人的に物語はやはり始めと終わりが肝心であると思っていて、その2点についてはあまり出来がよろしくはないと感じた。
なんというか結局全体としての話の筋が弱すぎる上に不自然なのである。それが原因だと思う。よく練られた緻密な展開みたいなものは期待しない方が良い。
自分は殺人ゲームみたいに、明確なルールが説明的に開示されてパズルの様に進行する話はあまり好きではない。話の展開がうまくてもあくまでゲームの中の話という感じで話の深みが全くないから。
この話はそういう話とは正反対で、この作品は、生々しさは十分あるのだけれども、設定の作り込みや展開の巧さはあまり褒められない。例えばどうして敵を排除する必要があるのかという理由はこのアニメではあまり重視されていない。説明棄てるにせよもうすこし不自然さが無いと良いかなと思う。
登場人物の設定や行動が若干不自然なことが度々ある。例えば始め主人公ら4人を戦いに導く女がいるが、彼女の序盤の秘密主義は、秘密が明かされてなお異様に不自然である。ミステリアスで冷徹に見える女、だとか理由もわからず戦う少女たち、という設定を作るための苦肉の策が見え透いている。ミステリアスな人物なんて出てくるとそのミステリーの内容がしっかりしてないとしっくりこない。
まあ全体的に序盤は中盤の諸々の足がかりをつくるために存在している感じが強く面白みは薄い。
終盤は消化試合感が強く、面白くできる要素をいくつか素通りしている感じが残念。エレベとケイトの関係とかね。終盤の戦いに尺とっちゃうより、日常の描写を大事にしたかったというのはわかるのだけど。読後感は薄い。
あと序盤はなんか劇中歌が入るのだけれど、あんまり効果的ではなかった印象(歌唱力の問題か、監督?の注文の仕方の問題かそもそも歌い方が変)。ただ監督も自覚があったのか途中でふっつりなくなる。
まあでも全体的には良いところはたくさんあって、期待以上の出来ではあった。なんか無限のリヴァイアスとかに多少雰囲気近いかな。まあまあお勧めです。
大作ではないけど、お洒落で地味で良い感じ。