cabinmild さんの感想・評価
3.7
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
実は深い、親子で見たいほのぼの系意欲作
コレ、とってもいいんです。道徳の教科書に載っていてもおかしくないくらい、いろんなことを考えさせてくれる素敵な作品です。
本作に登場する 亜人/デミ ちゃんたちは、身体的特徴(障碍、人種的差異)がある方を暗喩した存在として描かれています。そんなデミの生徒や同僚たちと、生物教師・高橋鉄男の関わる日常を描きます。
この高橋の眼差しがとてもよい。論理的に物事を解釈しながらも暖かい目でデミちゃんたちと接します。「自分たちとは違うから」という壁で社会を区切ってしまうのではなく、その違いを認識した上で「どうしたら共生できるか」という前向きな目線でデミちゃんたちと向き合い続けます。「なるほど、そういう視点で考えればいいのか」と気づかせてくれることも多々あり。
「たしかに、こんな先生だったら好きになっちゃうかもな」という説得力があり、途中挿入されるラブコメ要素もクサくありません。ほのぼのとした空気が持続します。
デミちゃんたちもオリジナルのモンスターではなく、実際に伝承のあるものをモチーフにしている点がまたいい。与えられた判断材料の中から実態を探っていく過程が、リアリティをもって感じられます。
唯一惜しむらくは、ややテンポが悪い点。特に各エピソードのラスト、シャレや言葉遊びがオチとなっているのですが、そこがやや間延びしています。原作のマンガでは1~2コマでストンと落ち、心地よい余韻が残るのですが、アニメではそのテンポ感がややグダグダとなっているかと。結果、1話1話のインパクトが薄い印象に。
点数評価ではやや低めになってしまったのです(テンポ感については物語点からマイナス)が、普遍的でデリケートなテーマを丁寧に扱った秀作です。