こまたち さんの感想・評価
3.7
物語 : 3.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
兵隊芸人がガンダムコントする作品(皮肉)
1986年放送のU.C.ガンダム
Zガンダムの続編
通称テコ入れガンダム。前作の暗いイメージを払拭するため終始コミカル調に描かれたガンダムとしては斬新な作品。(※今現在でも唯一無二のガンダム作品)
まるでコントのような展開と芸人のような濃い敵キャラとのやり取りはそれなりに楽しめた。が、しかし、ただそれだけの作品でしかない。
まずこの作品で一番評価したいのはキャラのやり取りやストーリー展開を全力でコミカルに振り切ったところだ。「遊びでやってるんじゃないんだよ!」という前作主人公のありがたいお言葉がありますが今作はそれをあざ笑うかのように物語が進行する。なるほど、主人公一派は戦争をお遊戯か何かと勘違いしていたみたいだ。戦争をやっているのに全く緊張感がない。あれ、こいつら今戦争中だよね?と視聴中なんど思ったことか…。とにかくそういった戦争コントがまずもって斬新でギャグものとしてはそれなりに満足できた。
キャラクターに関しては、主人公一派は子供中心で、敵サイドはどこか幼さの目立つ強化人間が中心だ。どおりでコントやお遊戯をやっているように見えるわけだ。ただこの幼さが逆にキャラクターの魅力を引き出しているわけで、たとえばギャラやマシュマー、プルなんかは面白さと少々のウザさを兼ね備えており、そういった面に好感を持てた節もある。
また地球連邦の腐敗をここまで強く描き切ったことは逆襲のシャアの布石としてはかなり評価できる。
以上、褒めるのはここまで。
ここからは酷評。苦手な方はブラウザーバックを。
この作品において最も致命的な点はこれが”ガンダム”であり、しかも”宇宙世紀”であるという点であろう。
ガンダムでは必ず戦争をやっており、必ずそこには様々な主義主張があり、作品自体には必ずなんらかのメッセージ性が含まれている。ゆえにどこか独特の緊張感があるもの。そも戦争は命のやり取りなのでそこには当然として緊張感がなくてはならないと思うわけだ。特に宇宙世紀ガンダムに関してはその色が特に強い。だが今作にはそれがまるっきし感じられない。まずコミック調のストーリーがガンダムというものに適合しない。リアルティの欠如はもちろん、作品のテーマ性もそれゆえに希薄になっている。いわば禁忌を犯したわけだ。遊びで戦争しちゃったわけだ。作中の例でいえば、ほぼ精神が子供の中途半端な強化人間を刺客として送り続けたこと、それに従うネオジオンの大人たち、それを主導するハマーン、この全てに違和感を覚えた。また主人公サイドの例でいえば、戦場でのやりとりほぼすべてに加えて、なんのためらいもなくネェルアーガマを子供に託すブライトやその1艦で敵の本拠地に突撃することにも違和感を覚える。それでどうにかなってしまうことも然り。とにかくツッコミどころが多い。戦争作品として最悪の出来栄えだろうなぁ。
次に、これは個人的な感想であるが前作引継ぎのキャラクターの扱いが気に食わない。ヤザンはただのドジっ子として扱われているし、ブライトはキャラ崩壊を起こしている。前作を踏襲せずに脚本の都合に合わせた調整にしか思えない。まさに愚の骨頂。新手の強化人間ですか?
次に前半の物語の停滞と描く必要が全く感じないヒカリゾク。お前らサイド1とラビアンローズの間をいつまでウロチョロしてるんだ?全く進展のないストーリー、そのうえほぼ同じマシュマー芸が繰り返されるばかりでさすがに退屈だったね。ヒカリゾクは最初の登場はともかく、二度目は必要あったか?あの人たち自分の行いを反省したんじゃなかったけ?なんで宇宙にでできたの?と、もうツッコミどころ満載。圧倒的に描写不足だよね…。
最後にストーリ全体のしょうもなさ。これはハマーンが指揮官として無能だったこと、その信念が非常にくだらないものだったことに起因する。ただの復讐じゃやっぱりどこか、作品としては物足りなさを感じるものです。
以上、20代学生から見たガンダムでした。
この作品がダイミダラーのような完全なギャグアニメとしてまたアナザーガンダムとして制作されたなら傑作になりえたように思います。
コミカルのセンスは良いだけに残念でならない。