こまたち さんの感想・評価
4.2
物語 : 3.0
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
ストーリー以外は本当に完璧
90年代制作のOVAガンダム
宇宙世紀0083年を描く(※初代ガンダムとZガンダムの間の物語)
矛盾が生じている致命的なストーリーと数々のツッコミどころを除けば
タイトル通り、本当に完ぺきな作品です。
まず作画は圧巻の一言。ぬるぬる動くモビルスーツの細かい挙動から登場人物の微細な表情変化まで、90年代では考えられないほど高いクオリティに仕上がっている。特筆すべきは、前者はヘルメット越しのコウのしわ、後者はデンドロビウム(3号機)の全戦闘シーン。デンドロビウムvsノイエジール戦はとてもたぎったね。ラスボス戦はああいう感じでなければねと、個人的にはお手本のように思うところ。
音楽はOP曲が2曲とも秀逸。作品のテーマ性とマッチしているし、なにより曲調が大好き。
またキャラクターに関してはその哲学やパーソナリティが一貫していてとても共感できる。敵味方問わず好感を持てる人物が多く、感情移入も容易に行えた印象。本作主人公のコウは歴代主人公の中でも特に好きな人物で、メカ好き、人参嫌いといった人間味溢れるところが私としてはかなり好き。ほら、ガンダムの主人公って電波系の人が多いから…(カミーユしかり、ヒイロしかり)やっと普通の、それも好感もてる人物が現れたかと思うわけ。もちろんガトーやバニングさんも好きよ。逆に嫌悪感を抱かせる人物もここまでやるかと思わせるほど丁寧に描かれていたね。地球連邦の腐敗は嫌なほど伝わってくるし、本作ヒロインの屑ぷりも歴代ガンダムの中でも最高峰に届くクオリティ(もちろん歴代NO.1はカテジナさんだけどさ)。とにかくそういったヒールキャラのおかげで好印象の人物(特にガトーとコウ)が軒並み不憫に感じるわけで、、。作品のできとして本当に見事なんだけど、なんだかもやっとする感じは今も拭えないなぁ…。唯一残念な点はシーマ様についての描写が不足しているところ。この点については後々の作品で補足されているけどできればOVA内に描き切って欲しかった。
さてここまでべた褒めなわけだが次はストーリについて酷評をしていこうと思う。苦手な方はブラウザバックを。
まず最初に言っておきたいが全てが残念なわけではない。ストーリーの大筋の流れは全く悪くない。全体の印象としては傑作とも言える。が、しかしだ。細かい点まで見てみるとなかなかに酷いものだ。
まず一番の問題点はニナの二股が後付け設定であるということだ。ガトーが2号機を奪取する際に”素顔”で再会を果たしているもののなぜか初対面の反応。なんでやねん。この点に関しては様々な考察がなされていて、一応の解釈は試みることができるが、私は今でも後付けだと思っている。というのも作品制作後に出された小説版ではこのシーンのガトーが”ヘルメット”を被っていることになっている。なるほど、辻褄合わせの為に変更されたわけだ。
次に試作1号機、2号機に関する不可思議な点について。まず1号機だがなぜ最初からバーニアをつけなかったのか。しかも換装しないと宇宙空間ではただの的という初代ガンダムにも劣る性能。なんというか、この1号機が作られた意図が全く持って不明である。そして2号機に関して言えばなぜ地球で核を積んだのか。実地テストを行う必要があったから送ったという会話が作中であったがそれなら地球で核を使うつもりだったのか?なぜ???という、この2号機に関しても製作意図が全く不明。しかもこれを奪取されて星の屑作戦が遂行されるわけだから全く笑えない。これもストーリー上の設定のために無理やり仕込まれたものか?ついついそう思っちゃうよ。
そして3つ目はMA乗りの死亡シーンを背景になんの嘆きもなく平然とイチャつくコウとニナに対する違和感。なんでや。ニナもコウも友好的に接してた人物じゃないのか?あのシーンがずっと違和感があって二人の恋を素直に応援できなかったふしはある。血も涙もないとはまさにこのことよ。
4つ目はバニング大尉の謎過ぎる死亡シーン。そもそも殺す必要あったか?近年、MS戦以外の退場が非常に多いためにファンから膨大な批判を浴びた鉄血のオルフェンズを思い出したわ。もっと華のある最期にしてあげてと個人的には思いました。
以上、20代学生から見たガンダムでした。
酷評点に関して補足していただけれるかたがおりましたら
遠慮なくコメントをおよせ下さい('ω')ノ