「聲の形(アニメ映画)」

総合得点
88.4
感想・評価
1521
棚に入れた
7490
ランキング
115
★★★★★ 4.1 (1521)
物語
4.2
作画
4.3
声優
4.2
音楽
3.9
キャラ
4.1

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ネタバレ

sunnyday さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

不完全な者同士の意思疎通の難しさ

映画館で公開されている際には見ることができなかったのですが、Eテレで放送されるということで視聴しました。
視聴する前は、単に聾者と健常者の間のいじめを表現したよくある話だと思っていました。ですが本作はそこではなく、人と人との意思疎通の難しさにフォーカスした作品でした。

-物語について-
物語は、登場人物の小学時代を経て高校生となった現在までを描きます。ストーリーの流れが良く、脚本の方が上手く原作をまとめてます。最後に石田が他人の声を聞けるようになったシーンは感動しました。人見知りの自分にとっては、共感できるところがあったりして、やっぱコミュニケーションって難しいな〜と改めて感じました。
ただ、石田が硝子に対して行ったいじめが、行為の悪質さに対して周りの反応が薄い気がしました。傷害までしてあれくらいというのは、少し現実味に欠けます。

-作画について-
いつもの京アニクオリティですが、劇場版ということもあって、背景や水の描写にいつも以上に力が入っているように感じました。美しいです。

-声優について-
僕は耳の不自由な方と関わる機会がないので分かりませんが、硝子の声優である早見さんの声は自然で、本当に上手く喋れない人なのかと思ったほどです。

-音楽について-
BGMは主張しすぎておらず良かったのですが、EDのAikoさんの歌は本作とはあまりマッチしておらず、なんか拍子抜けした感じです。
また、視聴中は気づかなかったのですが、ピアノの伴奏のシーンでは、補聴器を通して聴こえる音になるように録音方法を工夫されているそうで、世界観を大事にしているんだなあと思いました。

-キャラについて-
登場するキャラクターはみんな性格に筋が通っておらず、不安定で、ぐちゃぐちゃです(永束くんは除く)。
例えば、主人公の石田は、小学時代に聾者に対して傷害をしておきながら、高校になってぬけぬけといじめた本人に会いに行きます。はっきりいってクズです。他のキャラクターの性格も、論理が破滅しています。
ですが、現実社会において、何の欠陥も無く、誰にも悪口を言わない、完璧な性格の人はいるのでしょうか。むしろどこか人には言えないことがあったり、後ろめたいことがあって当然だと思います。
論理的に物事を考えて行動できる人なんて、アニメにしか存在し得ないし、そういう筋の通った性格のキャラを期待して観る人もいるでしょう。でも本作はそれを描かずに、実際に存在し得るクズを描きました。その気持ち悪いほどのリアリティが本作に共感や嫌悪感を産む原因だと思いました。

個人的にはとても良い作品だと思ったのですが、対人関係にトラウマのある方、特にいじめられたりした人にとっては結構キツイと思います。でも、僕はおすすめしたい作品です。

投稿 : 2018/08/27
閲覧 : 234
サンキュー:

20

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