芝生まじりの丘 さんの感想・評価
3.5
物語 : 3.0
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
世界観はまあまあ。
僕はラノベ原作のアニメ作品をやたら批判する割に見てる数はまあまあ多いのだから恥ずかしい話だ。まあ深刻なふりをして中身のない作品よりは、倍速で飛ばし飛ばし適当に見ても大丈夫なラノベ作品の方が気楽なのです。(8,9話飛ばして10話見ちゃったけど、全然違和感なくて笑った。)
さて肝心の内容ですが、まあまあ健闘してると思います。
12話でそこそこ話が展開していくし、まあ話が1本通っている感じがあります。世界観設定も厨二心をくすぐりますし、まあ独自な感じはある。この作品の世界観をカテゴライズしようとしたらちょっと困るよね。SFというにはメカメカしてないし、ファンタジーというにはちょっとロジカルすぎる。完璧に独創的って設定でもないんだけれど。
あとラノベものって結構アイディア勝負な部門で、実際最初は奇抜な世界観、設定だなと思うことは多いけれど、結局、目新しい事がなくて、テンプレエピソード、設定を水増しするか、グダグダ同じような展開を繰り返すかになってしまうことが多い。そのくせ区切りをつけず長々と続けようとするからタチが悪い。
そういう意味ではちゃんとあらかじめ世界観が練ってあって、それを1クール全体でうまいこと徐々に開示したことは、物語に一貫性とスリリングさ、そこそこの読後感(アニメで読後感ってどう言うんだ笑)を与えられていると思う。
終わりかけの世界ってのも自分の好みな設定。
ただ気になる点も多数あります。ラノベ作品にありがちな中学生のおままごとみたいな政府機関には呆れましたし、主人公のヒロインへの愛は説明不足に感じました。それから、明らかになって行く真実も予想の範囲内は超えなかった。ただまあ、無為にただ視聴者の気を引くために支離滅裂な展開になるよりはましだけれど。
恋愛展開についてもう少し言えば、本当にどうしてこんなに日本のライトノベル業界は恋愛を描くのが下手くそなのかと。何故みんな物語の成り行きに当てはめられただけの無味乾燥な恋愛をしているのか。
ラノベ恋愛で一番不愉快なのは、あの露骨な受動的男性マンセーです。別に女性陣が恋愛上の努力をするのは構わないけれど、どうして男たちはあんな皆ぶっきらぼうで、恋愛の主導権を放棄するのですか。そのくせ最後には据え膳食わぬは男の恥と、女の愛を受動的に受け止めて、誠実振るのだから、まったく全ての恋愛に悩む男性への侮辱だ。僕にはそういう気持ち悪い鈍感草食系男子というキャラクタの利便性がいまいちよくわからん。本当にラノベは恋愛展開を大事にしてる癖にど下手くそというね。
[蛇足]
それからこれは主に全てのアニメに当てはまるのでが、"主要人物以外は全員白痴である"という設定はいい加減になんとかして欲しい。確かに物語の一展開のための道具に過ぎないキャラクタをいちいち人間として造形するのは大変だろうが、もうちょっと頑張って欲しい。
それに関連して、"大衆"だとか"~団"、"~社の職員"などあるカテゴリに属する不特定多数の人間について、全く同じ思想、人格を共有しているかのように描くのも、非常に見ていて気持ち悪い。もちろん、多数の人間が似た意見を共有するということは別に当たり前の事だけど、それを示すにはもっと賢い方法がある。実際嫌味なくそれを示せている作品は少ないが存在している。
標準的特徴しか持ち合わせず、一般的思想に流されるままの人間というのは一番非現実的だと知って欲しい。