ワドルディ隊員 さんの感想・評価
2.6
物語 : 2.5
作画 : 3.0
声優 : 2.5
音楽 : 3.0
キャラ : 2.0
状態:観終わった
黒歴史扱いされた任天堂原作のアニメ映画
この作品は、スーパーマリオブラザーズ2のタイアップとして
制作されたアニメである。
『スーパーマリオブラザーズ2をベースにしているものの
ゲームとは設定がかなり大きく異なっている。世界観も
一新されているようなので
別物として考えた方がいいだろう。
スーパーマリオブラザーズ作品をプレイする、あるいは
スーパーマリオブラザーズ作品の知識を事前に頭に入れておくと
すんなり理解しやすいのではないかと思われる。
気になった点をいくつか示す。
ゲーム版
{netabare}
ルイージの服装は白帽子と緑シャツに白つなぎ。泳ぐことが出来る。
マリオとルイージはキノコ王国の住人
職業は配管工
キノコ、フラワー、スターはアイテムとして位置づけられている。
クッパ自身の呼び名は「吾輩」
{/netabare}
アニメ版
{netabare}
ルイージの服装は青帽子と黄のシャツに青のつなぎ。泳ぐことが出来ない。
マリオとルイージはきのこの国とは別世界(地名不詳)の住人
職業は日用雑貨店を営む自営業
クッパ自身の呼び名は「ワシ」
スーパーマリオワールドに登場する敵ハナチャンに
しか見えないキャラクターがいる。
{/netabare}
全体を通した感想としては、かなりツッコミどころ満載
のネタアニメだった。ゲームとは、世界観が違うこともあるが、
それに目をつぶっても気になってしまうのだ。単に私が
気にしすぎなだけなのかもしれないが。
まずは良かった所から。
とてもシンプルなストーリー構成だが、マリオやルイージ、
クッパ以外のモブキャラクターにもある程度見せ場を
作っていること。マリオファンなら楽しめる
作りになっている。
また、名言もそれなりにあるので、印象に残りやすいシーンも
多い。コミカルな作風になっているのも相まって、
かなり見やすいアニメだと感じる。
色々と気になる部分も見受けられた。
始めに、目につくのはピーチ姫の声を担当した山瀬まみ。
余りにも棒読みが酷いので、気持ちが冷めてしまうのだ。
特に、マリオに助けるを求める時の演技。あれを耳にするだけで
苦笑いが自然に出てしまう程。大根役者とはまさにこの事。
実力のある声優を起用して欲しかった。
キャラクター設定で一番割を食らったは、クッパ。なぜか、
ピーチ姫には敬語で話しかける上に、とても礼儀正しい
キャラクターとして描かれているのだ。
違和感しかない。誰彼構わず、暴君ぶりを発揮するのが
クッパではないのか。
この設定を考えたスタッフは、クッパに対する配慮が
欠けているとしか思えない。可哀想。
クッパの演技を担当した和田アキ子はかなり
頑張っていたように思うが、損な役割を背負わされている
ようにしか見えなかった。
当時、永谷園とタイアップして発売していた商品があり、
劇中に登場させることは構わないのだが、その出し方に
問題があるのだ。ブロックをたたいたら急に「マリオラーメン」
が大量に出てくるし、しまいには、クッパに追いつめられた
瞬間「マリオふりかけ」が突然現れるという有様。
ラーメンはそこまで違和感がないが、マリオふりかけの
出し方は流石にまずいだろ。しかも、そのせいでスターを
体内に取り入れることを忘れているし。やれやれだぜ。
テンポも中盤からかなりグダグダになる上、尺の使いまわしが多い。
「もう見た」と呟きたくなる程。脚本も中々酷い。
海に落ちたスターを取りに行く場面では、
貝の動揺を誘うために、なぜかダンス衣装に着替えだし踊るのだ。
「私綺麗よー」などと言いながら、貝の中へ入った瞬間
口が悪くなるマリオ。中々危険な香りが漂うキャラクターである。
陥没した船でピーチ姫の元に向かう場面に関してだが、
ツッコミが追い付かない。なんやかんやで宙に浮かぶわ、
道中で船がバラバラになっていくわでもう滅茶苦茶。これに
関しては3つのアイテム(キノコ、フラワー、スター)が
船の近くにあるからなのだと自らを納得させることにした。
まるで考えるな感じろを体現しているかのような錯覚に陥った。
ラストも中途半端なものだった。ありだとは思うが、あんなに
頑張ったマリオが余りにも可哀そうではないか。
別の見方をすれば、夢と現実は違うものだよと
子供たちに教えるメッセージだと解釈できるが、何とも言えない。
やはりここは王道通りの展開で言って欲しかった。
ゲームとはだいぶかけ離れているところが多いものの、
ネタアニメとして視聴すれば楽しめるだろう。 個人的には良作だと思う。