「約束の七夜祭り(Webアニメ)」

総合得点
66.3
感想・評価
38
棚に入れた
162
ランキング
2945
★★★★☆ 3.5 (38)
物語
3.4
作画
3.8
声優
3.5
音楽
3.6
キャラ
3.3

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ネタバレ

たまき さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

日本文化ここにあり

ベースとなる舞台の「伝統」要素、{netabare}カンナやアプリなどの{/netabare}AIシステム等の「現在・近未来」要素の複合はとても面白かったです。近未来的な作品は多々ありますが、『イヴの時間』のようなロボットがロボットロボットしている感じではなく、{netabare}人格のようなものも認められる所{/netabare}(=感情的なところ)、また{/netabare}エラーの原因が自分であると判断して消えるところ{/netabare}(=理性的なところ)など、人間すぎず機会すぎず、というような立ち位置はとても良いと思います。
難点としては設定が小難しい感じがしますが、そこも私は好きです。少なくとも、新海誠作品がある程度理解できる人なら問題なくついていけると思います。
あと他の方も仰るように、{/netabare}たしかに中盤の戦闘シーンはちょっとミスマッチなようにも感じました。大事なシーンでもないのに尺が長いのは微妙でしたね。おそらく練り直した際に新たに作ったシーンなのでしょう、これをすることで、城跡であるという伏線は回収できましたが、メリットよりデメリットの方が大きかったように感じました。そしてこれも他の方が仰っていたように、主人公の傷は果たしてそんなに深かったのかということですね。まぁそればかりはご都合展開ではありましたが、だんだん思い出すという都合上やむをえなかったのかもしれません。またヒロインの姉の死がかなりヘビーなものだったので、あれと同じかそれ以上となると、物語の雰囲気をぶち壊しかねないですからね。{/netabare}
さて、本題に入りましょう。私が「日本文化」と題したのは単に七夕とお盆を合わせたような感じだからではありません。音楽にも和楽器を多く取り入れているのは本当に素敵です。祭り調子の曲は和楽器を嗜むものとして見ても美しいものでした。また、{netabare}死者に会うという発想{/netabare}、少なくともこういった再開パターンはおそらく日本独特のものであはないでしょうか。黄泉国神話も、お盆も、そういった日本文化の結実であるとも思います。私的イチオシポイントは、{netabare}死者といえども中身はなんか俗っぽいところです。死んだから全て神聖化、美化されるのではなく、生の延長として描かれているということです。そこも、先ほどあげた日本的な死生観と絡めて日本らしさを感じました。{/netabare}そこに私はうっかり涙をこぼしてしまいました。
また、ただ伝統に忠実なのが日本文化ではありません。今や機械技術の先進国でもある日本ならではの、「伝統的」なまつりの進行を「未来的」なAIに任せる、というような構図が私は日本を語るとどちらか一辺倒になりがちな二つの要素を見事に織り交ぜていたと思います。

ずれ込んだ結果8月公開になりましたが、かえって正解だったかもしれません。お盆を意識させられたという点で。七夕要素よりお盆要素の方がどちらかというと強かったですからね。この作品は、是非はやく英訳して日本に興味のある外国人に見てもらいたいなと思います。日本文化ここにあり、だからです。

追記 この作品を見終えて、(特に熊木杏里さんのEDを聴きながら)新海誠作品『星を追うこども』を想起しました。あちらとこちらとでは中盤の展開はまるで違いますが、どちらも日本的なものを感じる、死者との接触を試みる人間の物語です。お盆という、死者に思いを馳せる時期に、こうした作品を見直すのもまた一興、ではないでしょうか。

投稿 : 2018/08/13
閲覧 : 202
サンキュー:

6

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