たわし(爆豪) さんの感想・評価
4.1
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
「イマジナリーフレンズ」達
「くまのプーさん」は1926年。第一次世界大戦の退役軍人であり文筆家のアラン・アレクサンダー・ミルンが、自身の息子である「クリストファーロビン」(実名)がぬいぐるみ達と遊んでいるところにヒントを得て実名で描いたファンタジー児童文学である。
A・A・ミルンは第一次世界大戦での経験でPTSD(心的外傷後ストレス障害)にかかっており、精神的に不安定な人物であったらしいが、イギリスの片田舎の自然やそこで育つ息子の姿を見て段々と創作意欲が沸いて「くまのプーさん」を完成させた。
が、しかし。。。「くまのプーさん」は大ヒットし、イギリスを代表する児童文学になったものの、同作の主人公である「クリストファーロビン」は学校ではいじめられ、世間やマスコミは必要以上にちやほやするせいで、相当ひねくれた青年だったらしく、後年も「父親の影の中で自分は生きている」と言っていたそうな。
日本ではあまり「イマジナリーフレンド」という概念が根付かないが、欧米では親が子供に与えるファンタジー文学やおもちゃの影響から、「ピーターパン症候群」と言われる現実と空想の境目が見えない子供や青年達をそういうふうに定義される。
「ある一定時期」の児童の妄想であることに間違いはないが、ディズニーがアニメ化して以来、同社を立て直す際に主力作品であり世界的人気と知名度を誇る本作は文字どおり「児童の夢」の象徴であり、そこには現実の過酷さや辛さは一ミリも描かれていない。
しかし、前述のアラン・アレクサンダー・ミルンの過去やクリストファーロビンの生涯を知ると思いのほか深いアニメ作品に見える。
どんな作品にもわざわざ自分の時間を割いてまで作るのだからこそ、世界的に魅了される名作が生まれるのではないだろうか?7