101匹足利尊氏 さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
とある正義の鉄拳制裁
原作ライトノベルは未読。
夏……学園都市の落ちこぼれ高校生である主人公少年が、
{netabare}自室、ベランダに干されていた?噛み付きシスターに遭遇することで、
もれなく付いて来た、厄介ごとの数々に巻き込まれる。{/netabare}
などと言う人知を越えた“不幸”から始まるw
超能力開発を行う学園都市を舞台に、科学と魔術が交わる能力バトル作品。
私の場合は外伝である『~超電磁砲』を2期まで観てから、
本伝アニメ版に入ったので、観たのは、だいぶ後。
この順番で観ると、美琴や黒子の声が若い!
……と色めき立つのも程ほどにしてw
本作のようなラノベ原作アニメを視聴すると、
時に中二と揶揄される、魔術、超能力といったラノベ設定も、
地道に丹念に積み上げていくことで、
王道が開かれるという勇気が湧いてきます。
異能の力を無効化する「幻想殺し(イマジンブレイカー)」を
右腕に宿す主人公少年・上条当麻。
周りに現れるトラブルメーカーな魔術師、超能力者や、科学者、宗教関係者たち……。
彼らは各々が連綿と積み重ねてきた膨大な伝統、研究成果、教義に基づいた
ご立派な御託の数々を並べて、
やむを得ない犠牲、必要悪、諦観を正当化して来ます。
彼らの主張は一聴すると論理的で、
高説する運命は宿命のように感じられます。
でも、それは、どこかオカシイ気がする。何か変だ。
いや、それ以前に、そんなさだめなど、到底、受け入れられない。
けれど、この物語世界は科学も魔術も、とにかく設定量が膨大。
SF、魔法、宗教で各々単独でラノベ世界を創造できる位の情報量を誇ります。
圧倒的な論理の物量に裏打ちされた審判をはね除けるのは至難の業。
世界観に圧迫されていく、人々が当たり前の日常を享受する隘路を
「幻想殺し(イマジンブレイカー)」の少年が、
熱い説教返しと、右腕で切り開いていく王道展開が痛快♪
敵に喰らわす一撃があくまで右の拳というのも良い。
上条当麻が拳を振るえば、圧壊するドラム缶の如く、ひしゃげた敵の顔面と共に、
野望が、それらを支える屁理屈もろとも木っ端微塵に打ち砕かれる。
「幻想殺し(イマジンブレイカー)」が消滅させるのは異能の力だけではない。
能力による巻き添えありきな大義実現を
論理から解体する危険性が彼には潜んでいるのだ。
敵を成敗するだけでなく、拳で熱く喝破した相手を感化してしまうのも、
この少年の侮れない所。
その観点から私が印象に残っているのは終盤前の、
{netabare}「一方通行(アクセラレーター)」が「打ち止め(ラストオーダー)」を守るため奮闘するお話。
実は件の主人公少年は活躍しないサブキャラエピソード。
なのですが、以前、「一方通行」がレベル6を目指す野心を、
狂気の実験もろとも、当麻の拳に叩き壊された。
グーで殴られる痛みと共に、人として大切な何かを叩き込まれた。
「一方通行」も相変わらず口が悪いですがw
他人の幸福のために熱くなる「幻想殺し」の義憤は確実に伝染している。
激闘の余波が感じられる展開にニヤニヤが止まりません。{/netabare}
実際、「幻想殺し」の少年の周囲には事件を重ねるごとに、
敵と味方、魔術と科学、宗派の違いを超えて、
数多くの才能、能力が集い、関わり合っていきます。
それらはやがて、この学園都市に大きなうねりを生んでいきます。
渦の中心には常に上条当麻がいるのです。