あぱぱ さんの感想・評価
4.2
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
不幸と幸福は天秤
前OVAからテーマが変わり「幸福」について触れた内容。
私としては前OVAより本作品が物語に対して興味が惹かれました。
「心の闇」が集団心理へ発展した内容です。
タイトルにあるように「幸福ゲーム」という発想が
心理を歪ませる素材になっていて、興味を掻き立てられます。
幸福という目的を達成するために、人が人を不幸へ陥れていくゲーム。
「射幸心」というエサに釣られて、人の心が闇に染まっていく
描写は社会風刺を思わせる。
(博打やソーシャルゲームと似たような感覚になります)
一目置くのがゲームを主催する人物の発想です。
{netabare}主謀者アヤセの闇は深すぎました。
悪意のある新興宗教のような仕組みで、幸福を点数制にして
射幸心を煽る手口は、闇の恐ろしさを感じます。
驚かされたことが、点数を稼ぐ手段が「人の幸福を奪う」
という発想が、表面上ではポジティブに伺えるような錯覚。
こんなゲームの存在を知らずに不幸にされたら、無念すぎて気持ちが
歪んでしまいそうになります。{/netabare}
{netabare}そしてもう一人の黒幕シライシも闇が深かった。
自分を幸福の高みへ導くために、男性の気持ちを誘う手口で
自殺へ追い込み、さらに同情さえも誘う嘘を吹き込む性悪でした。
アヤセとシライシは、お互いの闇で自滅していった結末。
私の感想としては、この物語はどちらも心の闇から救うのは
無理だと感じました。
罰は受けるべきだと。{/netabare}
やるせない気持ちにさせる描写が多い作品ですが
「闇の感情を生み出す原因とは何か?」
という視点で興味をもたれる方には向いている作品です。
(余談)
この作品を視聴して思いだしたのが、御茶漬海苔の漫画「TVO」を
読んだ時と似た感覚になります。
日常に潜む人間の闇に興味がありましたら、こちらの漫画もどうぞ。