Ka-ZZ(★) さんの感想・評価
3.9
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
「ひと」と「モノ」のボーイ・ミーツ・ガール
この作品の原作は未読です。
奈央ぼうと天ちゃんの出演…そして主題歌をGARNiDELiAさんとClariSさんが担当すると知り、視聴に至った作品です。
この物語の舞台は近未来…
この世界ではhIEと呼ばれる人型ロボットが人間の生活をサポートしています。
人間の人口構成は少子高齢化の加速的な進行により、労働力が大幅に低下しましたが、人の穴をロボットが埋めることで社会はより一層高度化を遂げていました。
そんな中、hIEの行動管理クラウドのプラットフォーム企業「ミームフレーム社」の研究所から、5体のレイシア級hIEが逃亡するトラブルが発生します。
レイシア級とは、21世紀においても継続し続けたコンピューターの計算能力の増大の結果、人類知能を凌駕するに至った超高度AIが生み出した今の人類には理解できない超高度技術によって作り出されたhIEなんです。
これまでは人類が人類を凌駕する力を鳥籠の中に閉じ込めていた…
けれど、何かの弾みで人類には制御できない強大な力が世の中に飛び出してしまった…
その状況に行き着くプロセスにも問題はあるのでしょうが、
人類にとって不安全となる可能性は見過ごせない…と人類は思考するんです。
この場合の不安全は「ヒト」が「モノ」に使われることを意味するんですけどね。
ヒトと言う種族が確立してから、地球上を支配下に置き続けてきました。
それは、ヒトが頭脳、集団行動、モノづくりなど総合的に勘案してあらゆる種族より優れた面を持っていたからにほかなりません。
そして現在、ヒトに押し寄せる少子高齢化の波…
これって言い方を変えると「衰退」とも言えると思います。
その様な状況の中で、人類を支配できる存在が登場したんです。
これまでの歴史が根本的に変わってしまう可能性だって否定できないんですから…
こうして5体のレイシア級hIEに纏わる物語が動いていきます。
この物語の主人公は、仕事で不在がちな父親と、やんちゃな妹と一緒に暮らしている高校2年生の遠藤 アラト…
アラトは、妹を甘えん坊でやんちゃに育てた張本人と言っても過言ではないでしょう。
いつも妹に振り回される日々を送っていました。
ところがある夜、買い物の帰り道でhIEの暴走事件に巻き込まれてしまったところ、とある女性型hIEに出会いました。
彼女の名前はレイシア…
hIEはオーナーと契約して初めてその本領を発揮します。
そして、レイシアはアラトに命を助けることを条件に自身との契約を要求…
まぁ、アラトは普通契約しますよね…
自身の危機的状況もありましたが、何よりレイシアが「超」が付くほどの美人さんなんですから…
誰もが目を奪われる美しさ…の方が分かりやすいでしょうか。
hIEはモノなので、責任を取ることができません。
だからhIEの行動に責任を取るのがオーナーの使命…
まぁ、甲と乙の関係が成立するので、自動的にこうなると思います。
でも本来は、オーナーが責任を取れる範疇だったら…という枕詞が必要不可欠なんですけどね。
レイシアは、人知を超えた能力の持ち主である事を知るのは契約のあと…
その責任を、と言われても正直検討がつかないと思います。
それでも日々接するうちに割り切れない感情が芽生えてくるのも理解できます。
優しいから…綺麗だから…尽くしてくれるから…?
きっとどれも当たりで、そしてどれも外れなんだと思います。
積み重ねた時間が意味を持っている証拠…なのではないでしょうか。
こういう感情には優しい気持ちで接したいと思いたいところですが、この世界ではそれも危うかったり…
本作品では度々「アナログハック」という用語が使用されます。
この用語は本作品が生み出した造語なんだそうですが、
「人間のかたちをしたもの」に人間がさまざまな感情を持ってしまう性質を利用して、人間の意識に直接ハッキング(解析・改変)を仕掛けることなんだそうです。
これだけだと分り辛いのですが一般化された事例がNET上にありました。
・笑顔〟を描いた絵や映像を見ることで幸福な気持ちになる
・警官の絵を描いただけの看板を見て、警戒心を呼び起こされて車のスピードをゆるめる
どちらも身に覚えのある出来事です。
これは脳が持つ性質から、人間の意識が無意識に動いた結果なんだそうです。
この作品の世界では、人間が自発的に行動を促していることがよく行われています。
この行為の主役は、人間のかたちをしたモノであるhIEです。
hIEは人間のかたちをしていますが、こころを持っているわけではありません。
この人間型の機械にさまざまな言葉や振る舞いを演じさせることで、人間を自発的に動かさせることができるのです。
(参考:Ana●●●hack Open Resoucehttps アナログハック https://www63.atwiki.jp/ana●●●hack/pages/8.html)
※上記を調べる際は「●●●」を「log」に置き換えて下さい。
人間の性質や無意識領域に入り込み、意図した方向へ事態を移行させる…
確かにこれだけ見るとすごく怖い事の様に思えますが、これ疑いだしたらキリがありません。
だからhIEが自身に備えられた機能を行使するか、それに対するオーナーの受け取め方が千差万別でも良いと思うんです。
だって、私たちの生活も思考もそんなに単純じゃありませんから…
それに…hIEの言動が全てアナログハックだったら…そんな風には思いたくありません。
だってそれじゃhIEの存在自体が寂し過ぎます。
アラトとレイシアは、これらに対して一つの答えを導き出してくれるんじゃないかと期待しています。
オープニングテーマは、GARNiDELiAさんの「Error」と、TrySailさんの「Truth.」
エンディングテーマは、ClariSさんの「PRIMALove」と、東京パフォーマンスドールさんの「Shapeless」
レビュー冒頭では前期分しか触れませんでしたが、2期の「Truth.」も大好きな曲でした。
2クール全20話の物語でした。
途中総集編を数回挟みましたので話数が変則的ですが、きっと大人の事情が絡んでいるのでしょう。
個人的には中途半端な状況で放送されるより、万全の状態で送り出されることを望んでいるので違和感はありません。
それに、今年の9月より『BEATLESS Final Stage』が全4話で放送される予定も組まれていますし…
hIEと人類の在り方について、どの様な結論が導き出されるのか…期待して待っています。
追伸
実は本レビューを投稿しようとしたところ、「NGワードがあり投稿できません」という状況が生じました。
NGワードに思い当たる節がなかったので、運営に問い合わせてみたところ、上記●に関するエラーを教えて貰えました。
自分じゃ絶対分からなかったので、運営の素早い対応には感謝しています。
この場をお借りして運営の皆さまにはお礼申し上げます。
ありがとうございました。