あぱぱ さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
一方通行の上り坂と下り坂
原作 番外編まで既読
正直なところ私はこの作品を見るたびに胸が痛みます。
音楽を通して結ばれる仲間の絆と、その関係の中ですれ違う恋愛。
「仲間の絆と恋愛」どちらかを優先するとすれば、どちらを優先しますか?
優先するのは視聴者がこれまで生きてきた過程で違うのは分かってます。
この違いが分かれるほど、この作品は視聴者の視点次第で評価が違う。
{netabare}仲間を想う気持ちと恋愛は、どちらも想う気持ちに違いは
ありません。
ただこれが仲間と恋愛相手が密接であればあるほど、辛く苦しい
想いを胸の内に秘めたまま付き合うことになります。
物語ではこんな関係の中で、自分の気持ちを押し殺しながら仲間を
想うがために苦悩する展開が、私の胸を苦しめているだと感じています。
個人的な経験を交えた物語の感想になってしまいますが
仲間を想うことができない人は、恋愛相手への想いを優先しても
お互い幸せになれないかもしれないと思っています。
なのでジュンイチがユリカと一緒になってしまったことと
カオルがセンタロウが蒸発した時にリツコに向けた言葉には落胆しました。
物語が最初から積み上げたものが崩れ去るような喪失感です。
カオルとセンタロウの友情物語はセンタロウが蒸発するまでは
素晴らしかったですが、坂道を上ったり下ったりする一方通行(アポロン)の
恋愛模様はただ切ないだけで私としては受け入れ難かったです。
しかしこのような苦しい想いを繰り返すのが、恋愛なのだとも思っています。
最終回の区切り方は賛否両論ありますが、人間ドラマとしては
仲間の再会という視点でよかったと感じます。
ラストが原作のようにカオルとリツコの恋愛が持ち込まれていたら
もっと落胆して、さらに評価が下がってレビューしなかったかも。。
あえて言いますと、私はカオルが報われるのは遅すぎたと感じてます。{/netabare}
サムライチャンプルー以降の渡辺信一郎監督作品ですが
扱っている物語の素材が少女マンガ原作ですので
以前の監督作品と対比したりせず、割り切って視聴されるのがいい作品です。
実写映画版もありますので、気に入った方はそちらもどうぞです。
(余談)
マツオカくんの邪なバンド精神が少し分かる気がします。
同じように高校でバンドをしていましたので、好きな音楽を仲間で
楽しみながら黄色い声を受けるのは気持ちがいいです。
初めて組んだ頃は仲間で一緒に楽しむことが一番の楽しみ
だったので、それが本質だったのかなと感じています。