ゲリオ さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
久々に面白かったロボットアニメ
シナリオ構成、アニメーションともに平均的にレベルが高く、全12話圧巻の熱量で駆け抜けた。
ぱっと見、ひと昔前の夕方アニメって印象が強かったけど、5話前後あたりで徐々に盛り上がり、中盤以降は毎週クライマックスレベルの面白さに変貌した。
序盤で切らないで良かったと思うし、見逃した人には是非おすすめしたい作品である。
最近のSFロボットアニメってなかなか飛びぬけた人気が出ない。
キャラクターの人間模様等が秀逸でそこそこ面白いロボアニメもいくつかあったが、肝心のロボットバトルがどうにも時代に合わず、佳作レベルで終わってしまう作品が多い。
ぶっちゃけキャラが生身で戦うバトルのが盛り上がるじゃんって、そういう時代なのである。
そんなロボアニメ不要論すら聞こえてくる昨今にあって、本作は稀に見る当たりだったのかなと感じる。
練られたシナリオと視聴者目線の魅せ方を意識することでロボアニメもまだまだ可能性を持っていることが証明されたのではないか。
1クール作品だったことも良作に繋がった一因かもしれない。
SF作品を1クールって普通に考えて難しいのに、短い尺の中に怒涛の展開を濃縮させることで、逆に無駄が省かれた中だるみのないシナリオを展開させることができた。
本作の登場人物はSFアニメなのに明確な"悪役"がいなかったのが特徴的。
主人公の宗矢を含め各々が自身の目的のために生き生きと行動しており、誰一人嫌悪感を抱かせるキャラはいなかった。
初見で怪しさMAXだったメイド娘や、「んにゃ」しか言わない変なマスコットが、終わってみればあんな良キャラだったとは予測できなかったね。
対立陣営のグランドパラディンの面々も全員キャラが立っていて魅力的だったが、彼らの活躍を存分に描くには流石に尺が足りず。
それでも、初回で撃墜された虎居さんが第8話で復活するとことか要所で見せ場は作ってくれたけど、仮に2クールあったらそういったシーンがもっと沢山見られたはずなんだよなぁと、キャラの素材が良かっただけにそこだけは1クールだったことが弊害になってしまったかもしれない。
総括すると、全方位で平均的にレベルが高く予想を遥かに上回るアニメだった。
一方でずば抜けた長所が無かったことと、やや古めかしいキャラデザが視聴者数を伸び悩ませた懸念が若干残念な点だった。
それでも見て絶対損はない作品だったと思うし、近年没落したロボアニメの可能性を示してくれた点で極めて良アニメだったことは間違いない。