ゲリオ さんの感想・評価

3.3
物語 : 1.5 作画 : 4.5 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態：観終わった

鬼畜大魔王"羽咲綾乃"爆誕

バドミントンを題材とした青春スポーツアニメ。
色々言われてる本作だけど、アニメの出来自体はそこまで悪かったわけじゃないと感じるのは私だけ？
3話くらいまでは今期の中でも視聴意欲が上位に位置していて注目していたのだが、いつの間にかネットで非難される代表作になってしまったのは何故だろうか。

まずは普通に良かった点から述べると、一番はやっぱり作画レベルの高さだろうか。
初回から作画クオリティの高さは目を見張るものがあったけど、特に試合シーンの描写にはどんだけ力をいれてるんだと感服させられた。
キャラがぬるぬる動きまくって、横から上から様々な視点から描写される工夫が素晴らしく、作中に何度かあったと思うんだけどカメラアングルがターンする（？）みたいな映像手法は、"進撃の巨人"の立体機動を彷彿させる演出だった。
実はスポーツアニメの試合シーンって、つまらなくて眠くなっちゃうことが度々ある自分だけれど、この作品に関しては全然そんなことなくて、むしろ時間の流れがあっという間に感じた。
ただ、最終回だけは何か静止画多めで動きも少なくダイジェスト感が出てしまっていた件について、もしかしたら意図的にそんな演出にしたのかもしれないけど、個人的には作画班が万策尽きたように見えてしまった。

次にネット上で非難の対象になってしまった件について、それはアニメ内の多くの原作アレンジがネックになってしまったのが原因だと思われる。
私は当初は原作未読でアニメを楽しんでいたが、「原作改変が酷い」という声があまりに目についたので、気になって試し読みしてみると、いや確かに全然違うなとｗ
原作はアニメみたいにキャラが序盤からギスギスしてないし、むしろ萌え作品に近い印象を受けた。
ただ、自分は最初の方しか読んでないので知らないけど、漫画でも途中で主人公が闇堕ちしてダークな作風になるのは変わらないということで、だったら初めからギスギス要素を持ってきたのも有りなんじゃないかという印象も受けたけどどうなんだろうか…？
ただまぁ、色々改変してるくせに部分的に原作の基盤を残しているせいか、キャラの性格がころころ変わり過ぎて違和感があったのは事実だろうけど。

そして語らざるをえないのが主人公の羽咲綾乃についてだろう。
序盤は「ふぇぇ」とか言う内向キャラだったくせに、突如魔王みたいな性格に変貌してしまったのは大いに話題になった。
ライバルはおろか身内の仲間すらに酷い暴言を吐く始末。
まさにアニメ史上最低な性格のヒロインの誕生である。
もはや、このキャラクターをラストまでにどう突き落すかだけに注目していたのだが、結局最終回で大きな展開もなく改心させてしまったのが拍子抜け。
もっと悲惨な目に合わせないのなら、あそこまでゲスキャラに仕立て上げた意味ってなんだったの？
部員仲間もあれだけ言われたのに声援を送るのは気がしれない違和感を感じた。
その辺りでストーリー面に対する評価に関してはやはり低めに付けざるを得ない。

総括すると作画は素晴らしかったし言われるほど悪いアニメではないが、たしかに内容的には突っ込みどころは満載な作品だった。
個人的には作品によっては原作をアレンジするのは有りだと思う。
ただ、本作に関してはアレンジの仕方が上手じゃなかったというか、見通しが甘かったというか、結果として原作ファンから強い反発を招く事態になってしまったことは残念である。
原作知らない自分的にはどうせ改変するのなら最終回で綾乃をボッコボコに泣かしてほしかったかな。そしたらもっと高評価付けてたかもしれないわ。