takumi@ さんの感想・評価
3.7
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 4.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
古典の世界、たまに浸ってみるのも良いかも
25年近くも前のアニメ映画だが、紫式部原作の「源氏物語」という
古典文学を扱った内容ながら、光源氏がピアスをしていたりとちょっと新しい雰囲気。
時代考証どうこう、と言うより、現代に置き換えてわかりやすく
見せようとした意気込みが、演出のあちこちに見受けられる。
そこが好みの分かれるところかもしれないけれど
個人的にはまったく違和感を感じなかった。
むしろ、去年放送していた『超訳 百人一首 うた恋い。』のほうが
ぶっ飛んだ演出入れていたし、あの作品はあの作品の良さがあって大好きなのだが
こちらはかなり抑え、幅広い世代に観て貰いたいっていう真面目さは伝わってきた。
物語は、原作の「源氏物語」全五十四帖のうち、
夕顔との出会いから須磨までが描かれている。
源氏と関わる女性達のそれぞれの美しさや性格や、したたかさなどはもちろんだが
作中、光源氏についての人々の噂で様々な光源氏像が一人歩きしている一方、
彼自身の真意を知る者は少なく、素直なままの想いはなかなか周囲に受け入られずに
実際は孤独・・そんな姿も見どころのひとつではないだろうか。
そういった、表に出しているやや軽めのノリとは違う別の秘めた恋心にも
個人的にはけっこう感情移入できた。
監督は「銀河鉄道の夜」の杉井ギサブロー氏。
音楽は細野晴臣氏。この音楽がまた幽玄の世界を醸し出すような素敵さがあった。
声の出演は、光源氏を若かりし頃の風間杜夫が務めるなど、俳優も起用されていたが
野沢那智、大塚周夫、納谷悟朗などベテラン声優が脇を固めていた。
作画などはどうしても古い作品なので、今風にとはいかないが
決して色褪せないものを感じることができたのは嬉しい。
個人的には、源氏物語を題材にした作品の多くが、この須磨までの内容なので、
その後を描いたものが観てみたいなと思うのだが、なかなか難しいのだろうかね。