Porco さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
『アビス』という恐怖の世界を見事に活かしてる
不思議な世界での冒険を見たい人向け。の作品。原作未読。
ストーリーは「アビス」っていう大穴を探検する2人の少年少女の冒険記っていう内容で、正統派なファンタジー。王道作品。
シレンとかトルネコとかのゲームと似てる。そしてそれらが絵本(アンパンマンやジブリ)のようなかわいらしいイラストで描かれた少年少女が冒険するっていう感じかな?
ちなみに魔法とかそういった要素は出てこない。銃とかも無い。
しかし、実際にふたを開けてみれば、いつ捕食されてもおかしくない未知の生物どもや、過酷な自然環境。頭のとち狂った登場人物もいたりと。
めちゃくちゃハードモードな地下世界を潜っていく感じ。
アビスっていう大穴になぜ危険をかけてもぐるのかというと、その中では人類が見たことのない謎の採掘品。「遺跡の物」と書いて「遺物」が眠っている。それらを手に入れて一攫千金を狙う探検家が多いっていうわけです。それで、このお話の主人公のお母さんは、伝説級の探窟家で。人が決して辿りつけなかった人類未踏の地まで行って帰ってこなかった、それでその母の形見が調査班から発見されて、主人公も「生きてる」という希望を持ちながら「最深部」へと進んでいくっていうストーリー。
まだ見ぬ「世界」と、未知との遭遇。「探究心」をくすぐられる、この先には一体何が待ち受けているんだろうってワクワクさせる。そんな作品でした。
だけど、このアニメ。ちょいグロ要素あります。あと描写がきついもの(ショッキングな面)もある。例えば(ちょいネタバレ){netabare} 「ゲロ」。嘔吐物とか、排泄物とか。出血表現とかね。 {/netabare}
最初は見ててほ~んって。まあ子供向けの作品だなー。みたいに思いながら見てましたが、{netabare} 6話半分。折り返し地点でシリアスな雰囲気になっていく。
特に10話を超えてからの「流れ」はやばかった。後から知ったけど、10話のあの声優の演技は「ガチで泣きながら」声をとったものらしい。確かにハートに直接響いてくるような、本当の必死さが伝わっていたなと感嘆。 {/netabare}
イラストは子供向けだけど、中身は子供向けではないと言っておこうか。知ってる人なら通じるが「まどマギ」に似た不気味さを感じさせる。
かわいいイラストで残虐シーンという、いわゆる「ギャップ萌え」というジャンルも世間にはあるし。楽しめるかはともかく、そういった描写も少しあるよとだけ言っときます。
この作品で一番良いところは「アビス」という世界を表現しつくしていること。
もし、仮にこのような恐ろしい世界が現実に存在して、そこに子供2人が入り込んだらどうなるのか。どうなってしまうのか。
普通だったら「ファンタジーだから、そういった表現はぼかして明るい雰囲気にまとめよう」ってするだろうけど、この作品はより現実的な展開が待ち受けている。こういった厳しい現実を「ファンタジーだから」とぼかさないで「アビスという恐怖そのもの」を書き上げたこのアニメは、ストーリーに没頭しやすく、また主人公への感情移入がしやすい内容に仕上げていると思う。あと、音楽だね。OPも好きだけど、ケビンさんの音楽を流しながら、語り手の真綾さんが話してるとことかマッチしてる。
音楽好きすぎてOST買っちゃった。
全13話という短い時間できれいにまとまってるし、おすすめ。
ただし物語のちょうど良いところで最終回を迎えるため消化不良な面もある。
2期はやく観たいー。