タック二階堂 さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 4.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
めぞんさくら。
詳細は公式でも。
水明芸術大学附属高校の、ちょっとまともじゃない
生徒たちが入寮させられる「さくら荘」に移らされた
神田空太。その数ヶ月後、寮の管理人兼教師の千尋の
従姉妹である天才画家・椎名ましろが引っ越してきて…
というお話。
さくら荘のボロさ、変な住人たちとのドタバタという
のは間違いなく『めぞん一刻』に着想を得たもの
でしょう。
原作が『Just Because』の鴨志田一、監督が『宇宙よりも
遠い場所』のいしづかあつこ、シリーズ構成が『あの花』の
岡田麿里ということで、観ておくかという感じで視聴。
2クール24話の構成ですが、前半はテンポの良いギャグ
アニメという印象。ましろの社会不適合者っぷりを、
せっせと面倒をみる空太という構図。このへんの図式は
『とらドラ!』と似たような感じですね。
後半になると、それぞれの恋愛、進路などに悩む若者
群像劇へと変化していきます。
ストーリーは非常によく考えられていて、どんどん次が
観たくなるように惹き込むのが上手です。
ただ、このところ視聴したラブコメ『中二病でも恋がしたい』
『とらドラ!』ほどは泣けませんでした。
それもひとえに、主人公・空太の人物像に共感できなかった
からかもしれないですね。
指摘されている方がいましたが、特に後半ではよく
ブチ切れるんです。ましろが弁当を作ろうとすることに
切れ(原稿やれ的な)、さくら荘を取り壊すのはましろが
いるからだという龍之介に切れ、美咲に会おうとしない
三鷹に切れて殴りかかり…
それでいて、自分は中盤から結局最後までましろと七海の
間で揺れ…というかどちらの好意も気づかないという
鈍感ぶり。もし気づいているのだとしたら、最低の優柔
不断さですよね。特にクリスマスイブ。
ましろを出版社のパーティーに送り届け、七海と観劇して
ましろがいなくなったと聞いて駆けつけ、抱きしめる。
それを七海が見ているというね。
手垢のつきまくった表現ですが「誰にでもやさしいのは、
時として人を傷つける」の典型。
まあ、それをオーバーラップさせるように入れたのが
第21話「誰のせいでもなく雨は降る」での、七海のセリフ。
「どうして私じゃダメなの」
これは声優オーディションに落ちたことを言っている
のですが、それと同時に空太にとって、自分じゃなく
どうしてましろなんだということも感じさせます。
とまあ、長々と書きましたが、ラブコメとしては
よくできた作品だと思います。
キャラデザも、回を重ねるごとに良くなっていく印象。
特にメインヒロインのましろと、サブヒロインの七海は
非常に魅力的に描かれていました。
良作だったと思います。ただ、もう6年も続編が製作
されていないということは、2期はないのでしょうね。
新入生の2人(伊織&栞奈)を交えたストーリーは
観ることができないのだろうなぁ。残念です。