うにおいくら さんの感想・評価
2.3
物語 : 2.0
作画 : 3.0
声優 : 2.0
音楽 : 3.0
キャラ : 1.5
状態:観終わった
リメイクは難しいというのがよく分かるアニメ
原作は累計発行部数が1500万部を超えるベストセラー小説である。
作者はこの作品で「皆殺しの田中」と呼ばれた田中芳樹。
元々は1988年から2000年にかけて劇場公開アニメ3作、OVA本伝(全110話)、外伝(全52話)としてリースされたアニメである。
あまりの登場人物の多さに多数の声優が登場し「銀河声優伝説」とも言われる作品でもある。
2018年にそれをProduction I.Gがリメイクした作品。
TVでは『銀河英雄伝説 Die Neue These 邂逅』12話が放映された。
勿論私は前作を観ている。
さてこの作品だが賛否両論である事は論を待たない。
リメイクが発表された時「できれば声優はそのままで」との願いむなしく声優は総入れ替え。
これに不満を持つ「オールド銀英伝ファン」は多いと思うが、多分一番の不満は作画ではないだろうか。
確かに絵は綺麗だ。迫力のあるカットに3Dで描き直された宇宙戦艦迫力満点だ。
しかし登場人物が私中学生の娘が狂喜乱舞するような「腐女子向け」なのだ。
まあ、ほとんど野郎しか登場しないアニメなのでそうなるなるのも、このご時世致し方ないのかと思うが登場人物のほとんどが好きになれない。オジサンはそんなもんだ。
尚且つ慣れ親しんだ声ではないので、正直って誰だ誰だか分からない登場人物も多い。
ヤン・ウェンリー役の鈴村健一は好きな声優だ。初代の富山敬の後を継ぐのには勇気が必要だったのではないかとも思う。
彼の声は案外すぐになじめた。
対するラインハルト・フォン・ローエングラムは堀川亮から宮野真守。
これはダメだ。声に無理がある。どう聞いても庶民だ。軽い。
彼の個性はオーバーロードのパンドラズ・アクターとかSTEINS;GATEの岡部倫太郎でこそ活きる。
好きな声優だからこそ、この役は止めて欲しかった。
どうせやるならオーバーロードで見せた達者なドイツ語を披露してもらいたかった。
オスカー・フォン・ロイエンタールも違和感満載だ。若本規夫の後を受けての中村悠一。これは厳しい。こんなアドリブオンリーの個性の塊のような声優の後を受けるなんて、オイラだったら絶対に嫌だな。力不足とかそんな問題ではない。
売れている営業マンの後を託された新人営業マンみたいなもんだ。そんな客を引き継いでもぺんぺん草も生えんわ。
このロイエンタールといつも一緒にいるのがウォルフガング・ミッターマイヤー。この役も元009の島村ジョー・森功至から小野大輔に代わっている。
中村悠一と小野大輔の声質って似てないかい?
いや、若本規夫と森功至との対比と比べると明らかにぼやける。
ここは無視か?! どうでも良いのか?
この二人の対比は重要だろう?
そういう意味で考えればシリーズ総監督を務めた石黒昇監督とは相当デティールの深いところまで原作を読みこんだんだという事が分る。
キャスト選びもすごく考えられていたという事がよく分かる。
なので、今回のアニメは作画の迫力以外は薄っぺらい感じがしてならない。
オジサンファンはそんな風に考えてしまう。
……と、不満ばかり書いたが、これは前作からのファンであれば致し方ない事だろう。オジサンは変化についていけない生き物なのだ。
それに最初のころの声優も鬼籍に入ってしまわれた方も多い。
富山敬しかり納谷悟朗 しかり青野 武・塩沢 兼人・野沢那智……生き残っている人も爺さんだし、声優の変更は仕方ないのは分かる。
しかしあの腐女子向けの作画は何とかしてほしい。声優が変わっただけでも相当混乱なのに、前作からあまりにも変り果ててしまった姿の登場人物も多いので、誰が誰か更に分からない。
これだけはオールドファンには耐えられない……まあ、今回初めて見る人には良いんだろうけど……。
という事で、はっきり言って昔からのオールドファンを完全に切った作品とも言えよう。
しかしこれはどうなんだろう?
続編2作は劇場版で公開されるそうだが、果たしてオールドファンをぶった切ってまで腐女子に媚びを売ったこの作品は評価を受けるだろうか?
観客動員数が気になる。
違う意味でちょっと楽しみだ。
ちなみに私は観に行くと思う。ヒマだし。
そう、ぶった切られても行くポリシーもプライドもないオールドファンである。
閑話休題
唯一、前作も出ている声優が石塚運昇である。
彼はトリューニヒトからメルカッツへと昇格した。
でも私の頭の中では今でもトリューニヒトだ。
そして神谷浩史がアンドリュー・フォークというどちらかと言えばチョイ役で出ていた。勿体ない使い方をする……と思ってるのは私だけではないはずだ。ちなみに前作は星飛雄馬の古谷徹。彼はこの役が嫌いだったようだ。