STONE さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
ゲームだからこその
原作は未読。
「ソードアート・オンライン」(以後、SAOと表記)の「ファントム・バレット編」のスピンオフ
作品だが、よくあるスピンオフ作品のようなキャラ被りはなく、あくまで世界観の流用と
いったところ。とは言え作中の会話ではSAOのキャラの名前が挙がったりするところが面白い。
SAOがゲーム世界が舞台でありながら、現実世界の要素と結びつくことにより、シリアスな
ものになっていたことが多かったのに対して、本作はSAOの設定や世界観を利用しつつも
ゲームだからこその楽しさを描いた感じ。ピトフーイ関連のシリアス要素はあったが。
実際、レンを始めとするプレイヤーの戦いにおけるえげつなさや思い切りの良さは
ゲームだからこそと言う感じで、これがリアルの生死に影響があるなら大半のプレイヤーは
こうはならないだろう。もっとも前述のピトフーイだけは例外という感があるが。
人が死なず陰惨さがない銃撃戦という点で、「ガールズ&パンツァー」に通じるものも
あるような感じで、原作者の時雨沢 恵一が銃器好きということもあってか、銃撃戦自体の
面白さなどはSAOより本作の方が上という印象。
もっともSAOの「ファントム・バレット編」はキリトが光剣をメインにしているように
「ファンタジー世界の剣使いが銃世界に挑む」といった他流試合のようなコンセプトが
あったようで、比較するのは違うかなという気もするが。
もう一つSAOとの比較で印象深かったのは、SAOでは中心キャラであるキリトやアスナが
リアルとゲーム内での人物像に大差なかったのに対して、本作の中心キャラは自身の
コンプレックス解消のために「ガンゲイル・オンライン」(以後、GGOと表記)を始め、更にそれを
通じて本質が表に出てきた感のある主人公のレンや、ゲーム内だからこそ自身をさらけ出せる
ピトフーイなど、リアルでの不満をゲーム内で昇華させている感が強い。
逆にフカ次郎はリアルとゲーム内ではあまり変わらないようで、レンやピトフーイとは異なる
特性ゆえに互いを際立たせていたような感じ。
それにしてもレンが可愛さを求めて様々なゲームを巡り、たどり着いた先が殺伐としたゲームの
GGOという皮肉なきっかけが面白く、そのGGOで可愛らしい容姿を得つつもやっていることは
えげつないというギャップを感じさせるところも面白いところ。
2回のスクワッド・ジャムがそれぞれ前半と後半の山場という構成だったが、GGOが
銃器メインのゲームでありながら、第1回SJのレン対エヴァ、第2回SJのレン対ピトフーイの
いずれも肉弾戦だったのは意外な感があった。もっともそれゆえにより勝利への執念の
ようなものが感じられたけど。
展開そのものは割と面白かったが、ゲームと言えども単なる娯楽以上のものとなる理由付けが
なされるのがSAOシリーズの常で、本作ではピトフーイの自殺云々がそれに当たるが、これは
ちょっと強引すぎる理由付けだったかなあ。
2018/07/10
2020/09/13 追記