愚者 さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
”非力”な主人公のTUEEはどこへ向かうのか
一見すると量産型ギャグポルノ。
でも何か違和感を感じたのは、この主人公が物語に対して完全な受け身でいるということ。
他の作品のように何か意思を持ったり行動することはせず、周囲にひたすら流されている。
やはりそれは現実世界での自身そのものからきているのだろう。 何をすれば良いかわからないリアルを拒絶し、目に見えて成長できるゲーム世界の頂点として日々を過ごしてきたのが彼の人生であった。
ところが、システム的な技量さえあれば過ごせていたゲーム世界から、他者と共生せざるを得ない現実社会に放り込まれる。 仮にコミュ力と意思がない主人公が一人で転生していたらきっと何も物語は生まれなかっただろう。
主人公もヒロインも首輪のことも相まって一方的な関係に見えるが、実際は相互依存の関係である。 どれだけ力が強くとも奴隷であるはずのヒロインを頼り、またヒロインの騒動に巻き込まれない限り魔王プレーとして存続し続けることはできない。 彼にとってヒロイン二人は魔王プレーとして生きる為に必要な「庇護下の弱者」なのである。 そしてまたその弱者無くしては存在できぬ彼は社会的・実存的弱者と言える。
その両者の関係性は物語が進むにつれ友情的な仲あるいは男女の仲へと徐々にではあるが発展していく。 これを表面的に単なる馴れ合いやポルノと見ることもできるが、高度に社会化が進み他者との関係性の中で生き辛くなった世界から原始的かつ基本的な世界へとヒロインが主人公を導いているように感じてならない。
私の上記の主張は著者でさえ「何言ってんの」と笑われるかもしれないが、私がこの作品におもしろいと感じた印象
はこのようなので仕方がない。