タケ坊 さんの感想・評価
3.0
物語 : 2.0
作画 : 3.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.5
キャラ : 2.0
状態:観終わった
勿体無い
☆物語&感想☆
マッドハウス制作による「花田少年史」が素晴らしい出来だったので、
同原作者作品の本作には期待して観させてもらったが、
多くの原作既読組が指摘しているように、
これは完全に原作のダイジェスト作品らしいということは、
原作を読まずに観ている自分でも途中で容易に気付いた。
本当にがっかりだ。
円盤売上を気にせず制作できるNHK枠で、一体なんでこんな事をやるのか、意味が解らない。
これの前に放送された「3月のライオン」は原作に沿った、
キャラの心情やドラマを最大限に描き切った素晴らしい内容だったのにね。
アニメ化された部分だけを観た印象では、
才能のある子供がかつての天才ピアニストに見いだされ、
ピアニストとしてのサクセスストーリーを歩むという、ありがちな王道ものではるが、
普通にやれば内容が想定内の安定調和でも、この手の音楽系作品は高く評価されるものなんだけど、
物語のダイジェスト化、キャラの描写不足で台無しになっている。
楽しめるのは原作読むだけでは伝わらない演奏時の曲ということにはなると思うけど、
正直ピアノやってない人間からしたら、カイとその他の演奏者の違いがどれだけ判るというのか...
実際のところ少々難しい部分ではあると思う。
☆声優☆
カイ以外のキャスティングと演技に関しては満足だが、
尺の都合でダイジェストにした結果か、
子供時代のしっくり来ていたカイの声が急に変わってしまって、
それまでの面影が全くない、キザな感じにも取れる声になってしまったのは、
正直違和感が大きかった。
☆キャラ☆
各キャラの背景、掘り下げや心理&感情面での描写が足りなさ過ぎる。
修平のカイに対する嫉妬や執着くらいしかまともに描けてないように思えるし、
カイはただの天才で観ていて感情移入できるようなところもあまり見受けられない。
誉子って一体何だったの?原作読んでなけりゃこいつ要らんやん、と思われても仕方ない扱い。
カイと母親との関係性についても、もう少ししっかり描かれるべきではないか。
物語の方向性が予想できる王道作品こそ、キャラクターをしっかり描くことが何よりも重要なのだが。。
☆作画☆
一色まことの原作準拠なキャラデザイン自体が今風でないのは措いといて、
演奏時の急に変わるCGが...まぁちゃんとした指の動きの細部まで描こうと思ったら、
作画じゃかなり労力が掛かるだろうなとは思うけど、逆に言えばそこまでの作画力がないとも言える。
☆音楽☆
この点に関しては何も不満はない、というか音楽系の原作で扱ってるものもクラッシックだから、
普通に作れば点数は当たり前に付く。
悠木碧のED、声のトーンの幅広さをまた実感した。
原作の内容はしっかりしてるけど、アニメ化するには円盤売上や収益が見込めそうにない、
という作品こそNHK枠を使ってどんどん作品化するべきだとは思うが、
(その意味で3月のライオンは神掛かっていた)
内容端折ってダイジェスト作品を作るなら敢えて作品化する意味は無いだろう。
この作品の後に予定されている「進撃の巨人3期」なんて、
そもそもバカ売れしている人気作品で、原作以外のコンテンツも大ヒットし、
予算も掛けれる作品なのに、わざわざNHK枠でやる意味が無いじゃないか。
不満は大きいが作品の方向性としては好きなだけに残念。
続編には期待したいところだ。