ワドルディ隊員 さんの感想・評価
3.5
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
進取果敢
この作品は、メリダとおそろしの森と
同時上映されていた短編アニメである。
おおまかなあらすじとしてはこんな感じ。祖父や父と共に小舟に乗り、
初めて働きに出ることとなった少年。3人は夜の海の最中、小船を
浮かべ待機していると、大きな月が現れ、信じられないことが起こる。
そして少年は、ずっと知らなかった家族の秘密を知ることになる。
見終わった感想だが、意外とメッセージ性の強い作品だと感じた。
見る前はあまり期待していなかったのだが、思ったよりも
見ごたえのある作りに仕上がっていた。流石に、この作品が
一番面白いと断言できるほどの出来かと言われると首をかしげるが。
急に、船の中からはしごが出てきたシーンは流石に驚いた。
しかも規格外の長さ。だが、月に直接届くほどの代物ではなかったようだ。
そこで彼らは、月の引力を利用することで月に到達するという方法を
採用している。知恵を活かした良い作戦だなと感心した。
また、祖父と父の意見が対立し、衝突している姿を描くことで
教育の難しさを上手く表現できていると思われる。
月での清掃をする際に、どの道具を使えばよいかを主人公に
教えている場面や、急遽飛来してきた巨大な星の処理についての
場面でそれがよく表れている。
意見が人によって変わるのは仕方ないのだが、その際少年に
待機してくれという指示を出していないのはまずい。教えられる
人間がオッサンならまだしも、未成年の少年なのだ。
教育者として如何なものか。
まあ、周りにたくさんの人がいるような状況でもないので
人に迷惑を掛けるという心配はしなくてもいいのだろうが。
巨大な星の処理についてずっと揉めている二人とは別の方法を
探ろうと考えた主人公。彼なりに考えた結果、主人公が彼らとは全く
正反対の行動を取るのだが冷静に考えるとかなり危ない賭け
をしているような気がする。
上手くいったからよかったものの、下手をすれば病院送りに
なっても不思議ではない。
まあ、ここに関しても突っ込みだすとキリがないので、
温かい目で見守るのが賢明と言えるだろう。
この作品のテーマは、周りの意見にとらわれることなく、
自分の意思を貫き通す信念なのではないかと思われる。
とても考えさせられた。
ピクサー短編アニメの中では、面白い部類の作品に入ると考えている。
個人的には良作だと思う。