Ka-ZZ(★) さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
俺たちには空がなかった。彼女には翼がなかった。
この作品はTRIGGERとA-1 Pictures共同制作のオリジナルアニメです。
この組み合わせって珍しいのでは…?
と思っていましたが、遡ればアイマス、SAOやマギなどでも接点があったみたいです。
TRIGGERといえば、キルラキルや前進のグレンラガンといった熱量を前面に押し出す作品を得意としたアニメーション制作会社であると認識しています。
だから、この作品に対しても並々ならぬ期待を持って視聴に臨みました。
この物語の舞台は地球…
ですが、今とは状況と雰囲気がまるで違います。
土地は荒廃していて人類が済める場所では無くなっており、人々は巨大移動要塞都市を建設してその中で暮らしていました。
風力・火力・水力といったエベルギーが得られなくなった人類は、地中から採掘したマグマ燃料と呼ばれるエネルギーを代替に使っているのですが、そのエネルギーの採掘を巡り、謎の巨大生物叫竜と戦いの日々を送ってきました。
叫竜との戦いに赴くのは、フランクスという男女二人で搭乗する巨大ロボット…
そしてそのパイロットは、パラサイトと呼ばれる名も無い子供たちだったんです。
パラサイトには、誰もがなれる訳ではありません。
フランクスに対する高い適正と搭乗するパートナーとの同調が必須…
これができない子供は自身の存在価値を、大人たちから認めて貰えなかったからです。
だから大人に言われるがまま…大人の言うことは絶対正しいと子供たちは信じていました。
でも、そういう規定路線に乗れないイレギュラーは、いつのどの時代でも存在します。
今回のイレギュラーは、第13都市部隊のパラサイトであるヒロという少年でした。
もともと高い適正値を示していたみんなのリーダー的存在…
ですが、フランクスに乗れないヒロは、自分の存在価値を失いかけていました。
フランクスに乗るための努力を欠いた訳でも、パートナーを無視した一人よがりの行動を取っていた訳でもありません。
みんなと一緒に居たいから…みんなと同じ事を出来るようになりたいと、むしろ人一倍努力してきたんです。
そんなヒロの前に現れたのが、「9's」のエースパイロットで叫竜の血を引くとされる少女・ゼロツーでした。
パイロットとしてはエリート中のエリート…
ですが、彼女のフランクスに乗ると3回目で必ず死んでしまう事から「パートナー殺し」の異名を持つ少女だったんです。
ヒロとゼロツーが出会い…叫竜との戦いの物語が動いていきます。
物語の序盤は第13都市部隊の物語といって良いでしょう。
前のパラサイトが全滅したため、フランクス博士が試験的に急遽集めたパラサイトたちで構成された部隊なのですが、この部隊のメンバーが何とも個性的なんです。
イチゴ(CV:市ノ瀬加那さん):第13都市部隊のリーダーです。リーダーだからと自らを顧みず、仲間のためと直ぐに無理をする彼女は、強い気持ちと意志の固さが最大の魅力…
幼馴染であるヒロのことをいつも気にかけている姿がいじらしい、この作品一推しのキャラでした。
ゴロー(CV:梅原裕一郎さん):フランクスに同乗するイチゴのパートナーです。
ヒロの良き理解者であり、ヒロとイチゴを一歩引いた場所から見ていることの多いキャラでした。
立ち位置が不憫だと思っていましたが、物語終盤に来てCVの梅原さんが体調不良でまさかの降板…
最後まで演じきれなかったのは絶対悔しいと思います。
その悔しさをゴローがどう跳ね除けるのか…この作品の見どころだと思います。
ゾロメ(CV:田村睦心さん):13部隊の中では一番子供っぽい存在でした。喜怒哀楽が激しく、何かあるとすぐ相手に突っかかる…
公式HPではチャラくて感情的と書かれていましたが、本当は大人に憧れている心優しい少年なんです。
ミク(CV:山下七海さん):ゾロメのパートナーです。公式HPで書かれている「容姿端麗で、スタイルが自慢の美少女。
明るく天真爛漫だが、わがままで負けず嫌い。」は彼女を現す適切な表現だと思います。
ミツル(CV:市川蒼さん):13部隊の中ではミツルが劇的な進化を遂げたように思います。
難しい立ち位置に自らを置いていましたから当然といえばそうなのかもしれません。
でも彼の心の内で暴れる葛藤…私には否定できませんでした。
ココロ(CV:はやみん):部隊の中で唯一ほんわかした存在だった彼女…はやみんが適役だったと思います。
普段は決して波風を立てようとはしない穏やかな性格ですが、実は見かけによらず芯に強い女の子だったと思います。
フトシ(CV:後藤ヒロキさん):立派な体格同様に優しく大らかですが、メンタルは結構弱かったり…
彼が変化を受け入れるのには相当勇気が必要だった事でしょう。
彼もまた、自分より仲間を優先できる存在だったと思います。
イクノ(CV:石上静香さん):一番立ち位置の難しい存在だったと思いますが、そこは石上さんの好演技が光りました。自分の事を面倒くさいと言っていましたが、人間なのてみんな面倒くさいんです。
だから大丈夫…その思いは間違っていないと思いますし、信じた道を突き進んで欲しいです。
第13都市部隊にゼロツーが加わる頃…叫竜との戦いも激化の一途を辿っていました。
それと同時に第13都市部隊の中にも変化の兆しが表れます。
思い返せばここら辺からだったでしょうか…?
物語にこれまで以上の壮大さが感じられるようになったのは…
そして物語の行き着く先…TRIGGERらしさを感じる反面、驚きが隠せなかったのも事実です。
特にラストの展開については物議を呼ぶことになるのではないかと思っています。
確かに一つの答えを導き出している…と言えば、その通りだと思います。
でもこれがこの物語のラストに相応しいか…と問われると、ここが論点になりそうです。
ここまで辿り着いたんだもん…もう少し第13都市部隊で夢を見たかった、が私の本音かもしれません。
オープニングテーマは、中島美嘉さんの「KISS OF DEATH (Produced by HYDE)」
エンディングテーマは、第13都市部隊の女の子たちの「トリカゴ」「真夏のセツナ」「Beautiful World」「ひとり」「Escape」「ダーリン」
個人的にはエンディングの「トリカゴ」と「Escape」が好みでした。
2クール全24話の作品でした。
見どころが随所にある作品だと思います。
個人的には物語が壮大になる前までが、私好みの展開だった様に思います。
これがオリジナル作品の醍醐味であり、難しさなのでしょうか。
皆さんのレビューを拝見するのが楽しみです。