シャベール大佐 さんの感想・評価
3.6
物語 : 2.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
硬派で泥臭い作風だけど、中身の熱さはそれほどでもないスポ根作品
あしたのジョーを原案として制作された近未来スポーツアニメ。全13話。
強化外骨格(ギア)を身に着けたボクサーたちによる格闘技・メガロボクスを描いていて、ストーリーは、非合法の地下闘技場で八百長試合をやっていた主人公・ジャンクドッグが、最強の王者・勇利を倒すために世界王者決定戦メガロニアを目指す、みたいな流れ。
序盤は面白くなりそうな雰囲気で期待したのですが、正直ちょっと期待外れで、最後のほうは惰性で観ていました。
まず、試合が面白くないです。なんとなく雰囲気は熱そうなのですが、ほとんどの試合は結果がおおよそ読めてしまうので興奮や驚きがありません。ギアから繰り出されるパンチが映像的に凄いわけでもなく、試合中に解説や蘊蓄などで盛り上がるような要素もないなど、見せ方にも工夫が足りませんでした。結局最後まで、名勝負と思える試合が1つも無かったのは、スポーツアニメとして痛いです。また、ギアにも存在意義が感じられません。普通の生身のボクシングですら一撃KOという場面は珍しくないのに、仰々しい機械を装着して繰り出したパンチが何発も当たっても相手を倒せない様子を見ると、もしかしたらギアというのはパンチ力をセーブするための安全装置なのかしら、なんて意地悪な疑問も湧いてきます。こういった、つっこみどころが気になってしまうのも、そもそも試合自体に、細かいことはいいんだよ!と思えるほどの勢いがなかったからで、要するに面白くなかったです。
人間描写についても、主人公からは、最強の男と戦わずにはいられないという、やむにやまれぬ衝動や、本能的な渇望のようなものは感じられず、せいぜい普通の男らしいスポーツマンという印象。勇利との関係にも、宿命のような強いライバル性は感じられなくて、スポ根系作品のキャラ付けとしては弱かったと思います。その他の登場人物も含めて、各キャラそれぞれ元ネタがあるので、形はそれなりに整っていますが、それ以上の魅力はありませんでした。
作画や音楽は、硬派で泥臭い、男の物語という空気をしっかり作れていて、とても良かったです。
最後まで観終わって、元ネタを知っているために、殊更評価が厳しくなっているという面はあるかもしれませんが、内容的には平凡な作品という感想でした。外面的な部分はそれなりに上手に出来ていたと思うので、あとは中身にもっと、スポ根作品に不可欠な燃えるような熱さが欲しかったです。