STONE さんの感想・評価
3.5
物語 : 3.5
作画 : 3.0
声優 : 4.5
音楽 : 3.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
異種間の性問題
原作は未読。
鬼と呼ばれるヴァンパイアものだが、人との異種間恋愛に焦点を当てており、そういう意味では
アメリカのドラマ・小説の「トワイライト」を思い出させるが、鬼だけの裏社会のようなものは
ないみたいで、設定基盤などは大きく異なる。
人間社会の中に存在する異種を扱った作品の多くが、人間社会の中で隠れて生存しているのに
対して、本作では一部とはいえ人間社会で鬼の存在が認知されており、恋愛も含めた鬼との共存に
関する社会状況を描いた点が面白い。
作中ではストーリーが進むに連れて、鬼に対する世間の風当たりが強くなっていく。
作品視点が鬼及び鬼との共存に理解ある人を中心としたものであるため、鬼排斥を訴える人々が
悪人のように描かれるが、逆にこうした人々視点で作品世界を見ると血を見ると人を襲って、血を
吸うような存在が野放しになっている状況はとても安心していられないだろうしで、鬼の排除に
動く気持ちも理解できてしまう。
そう考えると以前から鬼の存在を知っていた人々が「よく今まで人間側は共存を許したな」とも
思ってしまった。こうした人々の中では鬼の人権を尊重する世論が強かったのだろうか?。
展開的にはおもいきり途中で終わってしまった感じ。
原作の全てをアニメ化していない作品の場合、大なり小なり中途半端感があるのは仕方ないが、
本作は鬼に対する社会の変動、菊原 桐郎絡みの陰謀の行く末、主役である安斎 結貴の過去など
積み残しが多すぎる感じで、特に安斎と平 つかさの関係の肝とも言うべき、吸血欲の制御と
いう部分がとっかかりで終わってしまったのが残念。
異種間の恋愛や性問題というテーマ性は興味深かったが、1クールにアクション主体の
エンターテイメント要素をも同居させたため、浅いままで終わってしまったのが勿体ない。
吸血と性的欲求を結びつけて描いていた点も面白かったが、これ自体はヴァンパイアものでは
よくあるためにそう珍しいものではない。
ただ、自慰らしき行為で発散したりと、鬼と言えども普通の男子であることを描いていた点が
興味深い。
それにしても安斎と平が一室に篭っての吸血欲克服の訓練は変なプレイに見えて仕方なかったw。
全体的にはB級感漂うものだったが、キャスティングはやけに贅沢な印象。
2018/07/04
2020/10/20 追記