シャベール大佐 さんの感想・評価
3.9
物語 : 3.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
善人ばかりの、健全な雰囲気のラブコメ作品
銀座の街を舞台に、写真好きの高校生・多田光良とヨーロッパからの留学生・テレサ、またその仲間たちの、日常や恋を描く青春ラブコメ作品。全13話。
観始めてすぐの段階で設定の元ネタは想像がつきますし、作品の雰囲気も、斬新であるとか、新鮮であるとか、そういった方向は全く目指していないような、いかにも正統派のラブコメといった感じで、いまどきこういうベタな物語が作られるのか、というのが最初の印象でした。
内容のほうも中盤くらいまで本当に普通のラブコメなのですが、特徴を挙げるとするなら、その健全な雰囲気でしょうか。登場人物は善人ばかりですし、アホなことをするキャラがいてもそれは無害なアホさで、なんとなくPTAも喜びそうというか、優等生っぽい安全安心な空気でした。各エピソードで描かれる日常の光景やギャグなども、特に面白いというわけではありませんでしたが、作風としては嫌いではなかったです。
ただ、終盤の恋愛ドラマとしての展開については、恋の初期段階の描写を十分にしないまま物語を進めてきたのに、終盤になっていきなり進展させたような唐突感があって、あまり感心しませんでした。小さなエピソードを積み重ねて、段階を踏んでいくような描写が欲しかったです。また、設定のリアリティについては、つっこみどころもあって、日常コメディをやっている分には特に気にせずに楽しめても、真面目な展開になると、やはり粗として目立ってしまいました。
キャラは、脇役は良かったのですが、主役2人がやや魅力に乏しかったです。光良は誠実な人柄だけれど、感情の表現が少なくて、観ていてあまり面白くないタイプ。そういう性格になったのには過去に理由があるのですが、それを知っても、好感度が上がったのは光良よりもむしろ友人の伊集院だったりして、やはり主役としては地味だったような気がします。一方のテレサについては普通にかわいかったとは思いますが、こちらも個人的にはアレクや委員長といった周囲の女性キャラのほうに、より魅力を感じてしまいました。
作画は綺麗。銀座や皇居周辺などの風景も楽しめました。音楽は、OP曲は良かったですが、ED曲の歌唱には少し苦しさを感じました。
最後まで観終わって、途中まではそれなりに楽しめましたが、終盤の展開はちょっと雑だったように思います。そもそもヒロインの設定自体に、畳み方が難しい部分があったので、いっそ主人公・伊集院、ヒロイン・アレクで作ったほうが、キャラもまだ面白いですし、物語の自由度も格段に上がったのではないか、なんて無責任なことも考えてしまいました。