「グランクレスト戦記(TVアニメ動画)」

総合得点
68.6
感想・評価
348
棚に入れた
1523
ランキング
2060
★★★★☆ 3.3 (348)
物語
3.2
作画
3.3
声優
3.4
音楽
3.3
キャラ
3.3

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ラグマット さんの感想・評価

★★★★★ 4.7
物語 : 5.0 作画 : 3.5 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

90点、戦記としては50点。

まず、このアニメ最大の欠点は説明の無さである。
グランクレスト戦記自体、そこまでメジャーな小説ではなく戦記シリーズを好む人以外は誰も知らないであろう作品だ。
当然アニメ化するに至って視聴者の大半が新規になる。

しかし、全く説明がない。
聖印とは何か、君主とは、そもそもこの大陸の地形、混沌って何、邪紋使いってなんやねん、魔法は混沌を利用してるんか、物語の根幹となる多くの要素を全く説明していません。

既読とはいえ数年前に読んだきりの私は少なくとも「うん?」と疑問になることが多かった。
最低限、聖印と混沌の関係、魔法と邪紋の違いなどは説明しておくべきだった。

次に、あまりにも速い展開と無駄な尺の多さである。
戦記で最も重要な戦略、戦争部分は毎度毎度代わり映えせず、なんとなくという感じで進む。
一方で序盤の無駄すぎる尺や中盤の回想などははっきり言って無駄だった。

要するに最も説明すべき、見せるべき部分を見せていない。例えば主人公の片腕的存在のシルーカの従者アーヴィンは何者なのか、同じくエマとルナは何をしたかったの、盟友であり配下でもあるラシックはどんな活躍をしたのか、主人公の元主であるヴィラールの弟二人は一体なんだったのか。

他にもツッコみたいところがありすぎる。
メインとなるレギュラーたちのキャラ立ちが全くなく、色々とお粗末。出番自体は多いのにこいつらなんやねんってなりました。特にアイシェラは全く説明なし、最終話手前でようやく邪紋の力に関する説明がされる。

序盤、中盤、終盤の全てにおいて飽きを感じた。
面白いシーンの後に必ずつまらないシーンを挟んでくる。
特にマリーネとアレクシスのシーンの冗長さは途中から本当に無駄だと感じた。

また、戦記モノにおいて必須と呼べる戦力図。
誰がどの勢力でどう強いのか、それに関する説明も皆無。
例えばラシック、彼は序盤で主人公に敗れ忠誠を誓います。
その後主人公に聖印を託され領地を受け継ぎますが、破竹の活躍をして大陸に名を轟かせます。
しかし疑問となるのが、こいつってそんなに強かったか?
という素朴なもの。たしかに主人公との戦いは部下が人質に取られたため降参したという純粋な敗北ではなかったが、少なくともそんなに強くなる要素は感じられない。
雰囲気は強キャラ臭を出していたものの、それだけでそこから直接的な見せ場は少なく、ひたすらに他のキャラがラシックなら、ラシックがいればと言い続けるのみ。

これは多くのキャラに置き換えることができます。
例えば敵国にして最強の敵であるバルドリンド騎士団、序盤ではバルドリンドの威厳!とか喚いて雑魚オーラを撒き散らしていました。しかし蓋を開ければかなり強い。
ではその強さの秘訣笑どうやって生み出しているのか、それを説明すべきだった。
あの銃はなんなのか、なぜバルドリンドだけがあれだけの重装ができたのか、あれも聖印の力なのか、アニメでは何も説明がありません。
ただ、バルドリンド騎士団は凄いの一言のみ。


例えばミルザー。
そもそも彼は何をしたかったのか、野心云々を述べる割には自分が王になるという理念を持っているわけではなく、またなぜあれだけ強かったのか。
そう、また聖印が出てくる。

ミルザーの強さは聖印に関係がある。
しかしその説明は主人公とミルザーの最終決戦まで語られることはない。おまけにこれも曖昧で、聖印は部下が増えれば増えるほど本人が得られる恩恵は弱くなると説明していた。

しかし忘れてはいけないのが、そもそも聖印に身体能力を上げる能力があらなどという説明はこれまでになく、戦闘において使用したのはヴィラールがバルドリンドの銃を防いだ一度きり。しかもその後の説明もないためちんぷんかんぷん。


要するにひたすらに説明不足。擁護することができない。
また、戦記ものとして必要不可欠な勢力図もなく、口頭での説明もない。バルドリンドは最強、ヴィラールはすごい、テオはなんか持ってる、ラシック活躍、ミルザー寝取りくらいしかわからない。

また、時々クソ作画になるがそれは愛嬌。
本気を出した時は凄いのでどっこいどっこいですね。dkdk。


評価すべき点として、壮大なbgmと引き込まれるストーリー。王道の中の王道を全力で駆け抜けていくのは流石の一言。この点はアルスラーン戦記とよく似ている。
熱い展開と雰囲気に飲み込まれる。
褒めることはこれくらいしかないが、逆に言えばたったこれだけの要素であの欠点を補うことができる名作。

クソアニメではなく、とにかく惜しい。
総合としてみれば間違いなく高得点だが、足りない何かがあまりにも重要過ぎる。
せめてレギュラーキャラと世界観の説明くらいはいれておくべきだった。
突然黒魔女とか白魔女とか言われても、魔法師協会との関係が謎すぎる。


総評として、何かが足りない名作だった。
よくある尺不足アニメであり、どうあがいても2クールで放送できる内容ではなかった。
2期構成ならばその本領を遺憾なく発揮できていたであろうだけに非常に悔やまれる作品。

投稿 : 2018/07/03
閲覧 : 303
サンキュー:

10

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