退会済のユーザー さんの感想・評価
4.5
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
閉じた関係性の系譜 1.戦後日本
この作品は押井守の作品の中で最もすぐれた作品であり
その後に続く、エヴァンゲリオン、ほしのこえ、そして「ほしのこえ」の回答ともいえる実写映画「インターステラー」に通じる「閉じた関係性の系譜」の原点である。
こので作品で注目するべきところは、意図的に極めてロジカルに「閉じた関係性」を描いているからである
そして、それはよく言われるのが「オタクコミュニティ」のメタファーでありもっと言えば「戦後日本」のメタファーである
この作品で重要視されるのは、前半の「ループ」であることが多いが、
それ以上に重要なのは、ループ以前からある「閉じた関係性」を強固に守ろうとする強制力が働く中盤から後半にかけてである
その強制力とは、ヒロインのある種の願望を基に整えられる環境にこそある。
物語にはそれを実行する超越的なキャラクターとして夢邪気が出てくるわけだが、超越的なキャラクターにいよって生み出される環境こそが社会のメタファーでもある。つまり一人ではどうしようもない環境のように
それは永遠に祭りの前日を過ごし、終わりを知らず、止まった青春意味し、ある種の去勢を想像させ、アメリカ統治時代の日本やその後の社会運動の失敗、終わりなき日常へ続く「閉じた関係性」の系譜の始まりだと言っていいだろう。
それはSEALDsの失敗を見ればよく分かるように、現代日本において、いまだに祭りの前夜を過ごしている。祝祭に失敗し可能性の明日迎えることのできない永遠の前日である。