Ka-ZZ(★) さんの感想・評価
4.0
物語 : 3.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
歴史を紡ぐ戦いが、いま幕を上げる…
この作品の元になっている「銀河英雄伝説」は、アニメ好きの中では極めてメジャーな作品だと思います。
何せOVA本伝110話、外伝52話と想像を絶するボリュームを誇る作品なのですから…
そしてこの作品が凄いのはボリュームだけではありません。
圧倒的なまでの重厚さと荘厳さを兼ね備えており、1988年~2000年の間に制作された作品であるにも関わらず色褪せる事を知らない…そんなサラブレッドの様な作品だと私は認識しています。
もちろん、私もお気に入りの棚の一画に置かせて貰っている作品です。
時は遡り2017年5月15日…「新アニメプロジェクト「銀河英雄伝説」がついに本格始動!」の情報を知った時、私は歓喜せずにはいられませんでした。
アニメーション制作「Production I.G」がこの名作を現代版のアニメとして蘇らせるというのですから無理もありません。
元来この作品の持つ重厚さと荘厳さに最新のアニメーション技術が融合するんです。
これはとんでもない凄い作品になる…と思わざるを得ませんでした。
そして時が経つにつれてこの作品の全容が少しずつ見えてきました。
最初に知ったのは162話分全てが制作されるわけではないということ…
私は自分勝手に全部リニューアルされるとばかり思っていましたから、これを知った時には少しガッカリ感を持ってしまいました。
それでも往年の名作が現代技術によって形を変えて蘇るのですから、並々ならぬ期待を持っていました。
次に知ったのが物語の構成です。
1期12話で2期は12話分を3回に分けて劇場で公開されるということ…
全部で24話…
正直「たったそれだけ…?」と思ってしまいました。
確かにおびただしい戦艦同士の戦いが繰り広げられるので、作品としての情報量はとても多いでしょうし、制作に時間を要するのも理解できます。
それでも24話では短すぎです。
だって、24話だったら物語のどこかを部分的に切り取らなければ収まらないじゃありませんか…
銀英伝を好きな人にとって、どこかを「抜き出す」ということは「他を切り捨てる」と同義なんです。
あの物語のどこを切り捨てられるのだろう…
私には選択できませんでした。
でもまだ期待している面もあるんですよ。
公式HPのイントロダクションに、「原作小説『銀河英雄伝説』を第1巻『黎明篇』から順に、改めて新作アニメーションとして制作するプロジェクトが始動しました」と書いてあるんです。
ファーストシーズンの12話が「邂逅」でセカンドシーズンの12話が「星乱」、24話でどこまで描かれるかは分かりませんが、しっかりと本伝の思いを踏襲して欲しいと願うばかりです。
こうして「邂逅」の放送が始まった訳ですが…
やっぱり展開が早すぎる気がしてなりません。
なんでもうイゼルローンを攻略するの…?
それより、ラインハルトとキルヒアイスの出会いや成長の過程は…?
ラインハルトがどんな気持ち、或いは決意をもってその任に就いているのか、だって殆ど触れずにすっ飛ばされた感が残りました。
私は本伝を視聴しているので、描かれなかった部分の脳内補間はできますけれど、本伝のボリュームが半端無いので、こちらでこの作品の面白さを味わいたいと思う方には、本伝の魅力がどこまで伝わるのか正直疑問です。
でも作画は見惚れるほど綺麗な上、良く動いています。
作品としては申し分ないトップクラスの実力を持っていることは間違いありません。
だからこそ、腰を据えてしっかりと作っていない…訳ではありませんが、本伝の110話へのこだわりを感じたかったのが私の本音だと思います。
オープニングテーマは、SawanoHiroyuki[nZk]:Uruさんの「Binary Star」
エンディングテーマは、ELISAさんの「WISH」
どちらもアニメともマッチしていて素晴らしい楽曲でした。
オープニングの壮大さ、エンディングに感じる温もり…もう、何か言葉になりません。
1クール12話の物語でした。
ホントにこれからの作品だと思います。
これからの展開次第で、如何様にも化ける素質を秘めた作品だと思います。
今後の展開を期待しています。