「ゴールデンカムイ(TVアニメ動画)」

総合得点
83.5
感想・評価
698
棚に入れた
3256
ランキング
323
★★★★☆ 3.8 (698)
物語
3.9
作画
3.6
声優
3.9
音楽
3.6
キャラ
4.0

U-NEXTとは?(31日間無料トライアル)

ネタバレ

STONE さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.5 作画 : 3.5 声優 : 5.0 音楽 : 3.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

なんでもありのカオス的内容ながら、見事に調和の取れた作品

 原作は未読。
 ベースは金塊を巡る冒険ものといったところだが、法治国家でありながら、舞台が
辺境であるがゆえに実際には力が物を言うところなど、西部劇風味を感じる。
 特に主人公サイドが品行方正な善人ではなく悪党要素を持つところなど、
クリント・イーストウッド、フランコ・ネロ、テレンス・ヒル、リー・ヴァン・クリーフが
主役のマカロニ・ウェスタンを思い起こさせる。
 お宝争奪戦がマカロニ・ウェスタンの定番プロットだったり、本作では日露戦争が多くの
キャラに影響を与えているように、マカロニ・ウェスタンでも南北戦争後の話が多い点など、
よりそういった類似性を感じさせる。
 本作視聴後に原作が「和風闇鍋ウエスタン」と呼ばれていることを知るが、なるほ
ど言い得て妙。

 基本ストーリーは杉元 佐一のグループ、土方 歳三のグループ、第七師団内の鶴見 篤四郎
率いる一派による三つどもえによる、金塊の在処を示す刺青人皮を奪い合う展開で、刺青人皮を
捜す主筋それ自体はやや単調なきらいがあったが、いずれの陣営も一枚岩ではなく、個々の
思惑をも窺うとキャラの関係性はなかなか重層的なものになっており、更にゲストキャラや
北海道の自然や野生動物が絡むことで、より状況が複雑なものになって話を面白くしている。
 この三派の中心となる杉元、土方、鶴見のいずれも幕末の動乱や日露戦争がその人生に与えた
影響が強いようで、この金塊争奪戦、並びにその後の目的も含めて、これが生きがいでありつつ、
死に場所を求めているような感も。

 ストーリーに関しては金塊を奪ったのっぺら坊の正体を始め、まだ分からない部分も多く、
こういったミステリー要素も話を上手いこと引っ張っている感があった。
 また単にシリアスなストーリー一辺倒ではなく、随所にコメディ要素が挟み込まれるが、
そのバランス感が良く、コメディセンス自体もかなり素晴らしい。

 作品内で特に魅力的だったのはキャラ達。
 このキャラ達はレギュラーだけでなくゲストキャラも含めて、大なり小なりおかしな者が
多いが、ストーリー上の重要なファクターになるその異常性が、コメディ要素としても
機能していることが多く、その硬軟合わせた使い方がとにかく上手い。

 中心となる杉元とアシㇼパについて、最初は利害が一致した目的ありきの関係だったのが
次第にそれだけでなくなっていく過程がよく描かれており、この二人の関係は同志、親友と
いった要素がありつつも、親子や兄妹のような、そして男女の恋愛感情のような部分も
現れてきているような印象。
 日露戦争で殺伐とした心になった杉元にとってアシㇼパが優しい人間性を取り戻す存在に
なっていながら、そのアシㇼパのためなら非情なことも厭わないというところが興味深い。
 この杉元とアシㇼパの旅はロードムービー的雰囲気もあり、最初は二人だけで始まった道中が
次第に仲間が増えていく過程は冒険ものなどに見られる王道的なもの。しかし、そこに互いの
信頼関係がないところがこの作品らしいと言うか。

 幕末から明治に掛けての歴史的要素、当時の北海道を中心とした地理・文化的要素、アイヌの
生活様式・風習・宗教観・考え方、アイヌ及び明治期の食生活など興味深い描写が多々あり、
この辺も見所だと思うが、これらは単なる知識披露に終わらず、ストーリーにうまいこと
活かされている。

 残念だったのは作画。
 個人的にはあまり作画作画言わない方だが、動きのあるシーンは平坦な出来で、
ダイナミックさに欠けていた印象が強い。

2018/07/01
2021/08/24 加筆・修正

投稿 : 2021/08/24
閲覧 : 352
サンキュー:

9

ゴールデンカムイのレビュー・感想/評価は、ユーザーの主観的なご意見・ご感想です。 あくまでも一つの参考としてご活用ください。 詳しくはこちら
ゴールデンカムイのレビュー・感想/評価に関する疑問点、ご質問などがございましたら こちらのフォーム よりお問い合わせください。

STONEが他の作品に書いているレビューも読んでみよう

ページの先頭へ