ダレイオス さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
将棋アニメとして見て評価を下げるにはあまりにも惜しい作品
1期の続きから始まる続編
2期の1話は1期から間隔が開いているからか
1期はどういうアニメだったのかがわかる作りでした。
寒い感じは否めないが独特のテンポのいいギャグや
出てくるキャラがギャグキャラよりのキャラ付けだったり
の感じが出ている作風は面白く相変わらず楽しめました。
将棋についても将棋の指し方から、将棋にたいしての取り組み方など
主人公が詳しく話してくれるので将棋アニメとしても
丁寧な描写が多く素直に楽しめる。
1話は将棋が上手くない人とプロ棋士である主人公のコメディから
スタートしていて、その組み合わせが面白い。
将棋が上手くない人の意見に対して主人公がプロ棋士ならではの
意見やツッコミを入れるこれが絶妙な所をついていて面白く楽しめました。
相変わらず、独特な映像的な演出も健在で見ていて面白い映像になってました。
ただ、2期は映像的な癖は意味もなくドアップシーンが増えていたり
この制作会社らしさが強く出ており1期はよりは
癖が強くなっていました。そのあたりは人を選ぶでしょう。
ストーリーは名人の強さを描写をしながら
そのライバル棋士のキャラの心理面に気を使ったりしながら進めてましたね。
名人は喋らないけど周りのキャラの心理面を掘り下げることにより
名人の凄さは感じ取ることは出来ました。
ライバル棋士のキャラが名人と戦うことの大変さはもちろんだけど
戦うまでの大変さも伝わってきたし
戦ったあとも精神をボロボロになってしまうぐらい厳しいことは伝わってきました。
そういった描写は素直に良かったなと思えました。
主人公については新人王戦に向けて進んでいる感じで描かれてました。
その中で主人公の過去の回想が語られて
内弟子になったことにより元々いた家族との距離感などで
苦しんだ辛い過去が語られたりその話も大変さは伝わってきました。
苦しんだ過去はリアリティーがあり当時子供ながら難しい人間関係に
置かれた状況を生き抜いてきた生々しさの描写は特に色々考えらせられました。
主人公に関しては相変わらず詩人だなとは思いましたが
そのおかげで一言一言に重みがあり凄く気持ちは伝わります。
主人公以外は中学生の女の子の難しい人間関係の問題が描かれてましたね。
こっちの方は正直この制作会社の癖の強い演出もあってキツイ内容では
ありましたが主人公側のそれぞれの立場の人間の考え方や思いが語られて
その部分が深く掘り下げられていたのでそれぞれの意見は違えど人間関係に苦しんでいる中学生の女の子のことを
真剣に色々とみんな考えているんだなと伝わってくる
作りだったのは考え深かったです。
特に主人公は自分が人間関係に苦しんでいたけど自分は我慢していただけだから
自分には何か助けてあげられる策がないことで自分の力の無さに悩んでいたり
したりする気持ちは痛いほどわかったので
そういった丁寧な心理描写はとても良かったです。
中学生の女の子も自分は頑張って正しいことをしてきたつもりだけど
その行動のせいで人間関係が崩れたという
難しいジレンマが描かれていて「どうしてこうなるの?」という理不尽さは
こちらも気持は痛いほど伝わってきました。
うーん、この人間関係の崩れも妙にリアリティーはあったし
その崩れに対しての主人公側でない周りの大人の対応の冷たさや
状況を知らない保護者が出てきて大騒ぎになったらどうしよう・・・的な
問題など様々な問題が描かれていたし
実際に出てきた時の保護者の態度なんかも問題の難しさを演出していて
雑にまとめずに丁寧に人間関係の難しさを描けていたと思います。
正直、テンポ優先でアニメが作られる時代で
ここまで丁寧に作られているとは思わなかったので感心してしまいました。
そのおかげで観ている視聴者に色々な考え方や問題に対しての向き合い方があるなと
思わせるものになっていたし、人間関係の崩れる過程の壮絶さ周りの大人の冷たさの問題など
綺麗ごとですませてはない奥の深い問題提起のストーリーになってました。
将棋対局自体については2話の序盤まではしっかりと描かれてましたが
その後は1クール目ぐらいまでダイジェストでしたね。
ただ、主人公が人間関係に悩んでいる中学生の女の子のことを
見て自分はどう将棋を指すべきなのか?を考えたり
二海堂の将棋の取り組み方を見て、ライバルの二海堂がどのような思いで
将棋に取り組んでいたのかを悟ったり
二海堂の言葉の意味も、そういう意味があったのか・・・と
悟ったり、二海堂についてはキャラが掘り下げられて
将棋について人生を賭けていると伝わってきて
1つ1つのエピソードに意味があるのはとても良くて
1期同様に色んな人が登場してそれぞれの思いが交錯する内容で
それを主人公がどう思うのかでしたね。
なので、そこまで将棋対局自体の描写は重視はしていなかった感じでしたが
とにかく主人公に関しては心理描写が丁寧なので
どう思うかに関しても聞いていて説得力はありました。
ライバルを見て主人公がどう思って自分なりの答えを出して
成長を感じさせられるキャラクター描写が出来ていたので・・・
他のライバルキャラについても1期同様に将棋について人生を賭けている
ということがヒシヒシと伝わってくるエピソードが中心で
主人公側だけでなくて相手側もどう挑んできているのかの描写が出来ていたので
それらについてはとても良かったです。
主人公側だけから見れば憎むべき相手なのかもしれないが
そうではなくて相手側のからも描くことによって
いやいやいやいや、ライバルキャラにも都合がありけして憎むべき相手ではない
という描写が出来ていたのは良かったです。
このおかげで主人公側だけの都合で描かれていた作品ではないという作りになっていたので・・・
気になる所は中盤以降は無駄に寒いギャグが増えるので
個人的には面白いので楽しめましたが人を選ぶかなとは思いました。
かなり長い時間寒いギャグに使われるのも
ストーリーが中々進まないことになってるので間延びしている感じは否めない気はしました。
あと寒いギャグは割合シリアスを和らげるために使われている傾向もあるので
シリアスとのバランスがいいか
噛みあってないかは評価はわかれそうだなと思いました。
後半の将棋対局は少ないながらもの将棋対局がある場合は
ダイジェストではなくなり、きちんと描かれていたので
楽しめることは多かったです。勝負のターニングポイントも
わかるので、そういったシーンは盛り上がりました。
それに後半は明るい家族の温かい話も増えて
温かみのある日常シーンが増えるのですが
主人公と中学生の女の子の家族の交流は主人公が将棋を指す理由を
みつけるという成長を描くことしながら
温かみのあるシーン作りが出来ていたので
その表現の仕方は凄く良かったです。この表現の仕方は感服に値します。
棋士以外のキャラは中学生の女の子の爺さんにあたるキャラがいましたけど
考え方は子供騙しではなくて、中学生の女の子の優しさに対して
大人な意見かつ真剣に中学生の女の子の優しさを尊重しつつよく考えているんだなと
伝わってくる対応の仕方をしていたので
そういうキャラクター描写はとても良かったです。
そのおかげで深みのある優しさを感じることが出来ました。
主人公の義理の母親は主人公のことを客観的に見たことを心の中で語ってましたが
これについては主人公のことをよく見ているな・・・と伝わってきたし
これによって色々な人が見た意見が描けていたので
一方的な見方の作りになってなくて良かったなと思えました。
このアニメて様々な人の意見が色んな角度で主人公側の都合だけでなく
描かれているケースが多いので、そういう作りは感心してしまう。
声優さんについては主人公役の方は1期同様にモノローグ風に語られる時の喋りは気持ちのこもった
演技が出来ていていたのは良かったです。
2期はシリアスも多かった分、全体的にも演技力が必要だった作風でしたが
場面場面しっかりとした演技でキャラの気持ちは伝わってきたし
泣いたり悲しんだりの感情的になった場面でも
その場面に合った演技作りが出来ていたし凄く良かったです。
ギャグ演技も演技自体はきちんとギャグとして機能している演技が
出来ていたのでその点もとても良かったです。
演技については問題はありませんでした。
まとめると1期以上に癖が強い作画1期同様に寒いギャグなので人を選ぶだろうが
個人的には面白くてギャグは楽しめました。
内容自体は将棋対局自体の描写は1クール目はダイジェストでしたが
中学生の女の子の人間関係の問題や二海堂や他のライバルたちの
将棋について人生を賭けていると伝わってくるエピソードは良かったです。
特に人間関係の問題については考えさせられる内容で
もの凄いシリアスではありましたが問題の本質は描けていて
綺麗ごとでは描いていなくてよく出来ているな・・・と思いました。
うーん、将棋アニメでなければ相当な高評価が出来るだろうが
将棋アニメなのでその辺が前半の評価のポイントでしょうね。
後半は将棋対局自体は少ないながらも将棋対局がある場合はしっかりしてくるので
素直に将棋アニメとして楽しめました。
ただ、将棋対局自体は少ないのでやはり将棋アニメとしての評価となると・・・でしょうね。
それでも後半は温かみのある成長をストーリーを描けているので
内容自体は高評価の出来る作りでした。
将棋アニメとして見て評価を下げるにはあまりにも惜しい作品