STONE さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 3.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
ストーリーはゆるふわではなく
原作は未読。
いわゆるきらら系と呼ばれる作品群は女子キャラの楽しげな日常を描いたものと、日常を
描きつつも骨子にキャラ達が果たしたい目標を持つストーリー性の高いもとのがあるが、本作は
後者。
後者の場合、単にキャラの可愛さやそのやり取りの楽しさだけではなく、キャラ達が目標に
向かって進む様がどう描かれるかに注目してしまうが、本作は寮での1年を通してのキャラ達の
漫画への熱い思いなどがよく感じられた。
この辺は曲がりなりにもプロと言うべきか、部活や趣味系のそれよりも真剣味が感じられる
もので、作品全体のテイストはきらら系によくあるゆるくてふわっとしたものだが、漫画に関する
ストーリー要素に関してはシリアス味が強く、ある種の泥臭ささえ感じられたりするのが良い。
寮での生活描写は漫画家の日々の暮らしぶりや考え方感じ方を知ることができ、なかなか
興味深いところ。この辺は原作者であるはんざわ かおり氏の自己体験的部分が強いのかな?。
この寮生活、雑誌掲載を目指すかおすこと萌田 薫子や恋塚 小夢にとっては、既にプロとして
活動している色川 琉姫や勝木 翼と接することで得たものは相当大きかった模様。
またかおすちゃんにとっては寮生活そのものが雑誌掲載作品の内容に繋がっていくというネタ作りにも役立っている点がストーリーとして良い締めになっていた。
寮自体は古いもので建物自体がなかなか味わいのあるもの。
加えて過去の入寮者の痕跡が現在の入寮者であるかおすちゃんに対する間接的応援になって
いたりするところが良い。
良い意味でプライバシーの無さが共同生活の魅力になっているようで、建物自体の古さも
相まって、「めぞん一刻」や昭和のドラマなどであった下宿ものに通じるテイストが感じられた。
描写比重は漫画家としての生活描写に寄せているが、本作に限らず最近の特定のモチーフを持つ
日常系作品はこういった構成になっているものが多い印象がある。
こういった構成は話が散漫にならずに締まった印象を与える反面、キャラが魅力的だと
モチーフとは関係ない学校行事や季節行事なんかも見たくなってしまうジレンマが。
特に本作は止め絵でサラッと描かれた寮での日常生活が非常に楽しそうであっただけに余計に
そういう思いが強かった。
キャラに関してはいずれも魅力的だが、ストーリー的に感情移入してしまうのはかおすちゃん。
漫画家としては主要キャラの中で一番劣り、すぐ泣いてしまうし、自虐的だしで
ダメダメなのだが、決して諦めようとしない健気さについ応援したくなってしまう。
またギャグコメディ要素としてもどこかずれている感性ややけに親父っぽいところなどが
面白かったりする。
個人的にはきらら系は楽しい気持ちになることはあっても笑える作品というのはあまり
ないのだが、本作は結構笑えることが多く、どうやら本作のネタが自分の感性に合っていたみたい。
サブタイトルも好きで、作中のセリフから引用したものだが、主筋やテーマ性が感じ取れない
部分を敢えて引用しているようで、作中の内容がまったく想像できない面白さがあった。
他のきらら系に較べて、結構エロティックな印象もあった。
2018/06/24
2020/08/30 追記