Ka-ZZ(★) さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
「わたしは騎士テオの聖印と契約し、永遠の忠誠を誓います」
この物語の原作は未読です。
2クール作品だったので、どうしてこの作品の視聴に至ったかは忘れてしまいました。
ただ、気が付いたら毎週の視聴を待ち遠しく感じている作品になっていた…そんな感じです。
それも、ファンタジーの世界における圧倒的なまでの重厚感…この作品はそれが堪らないのです。
この物語の主人公は、テオ・コルネーロ…
彼は自分を育ててくれた故郷が圧政に苦しんでいることから、その状況を打開すべく武者修行の旅に出ていました。
圧政に苦しむ民を混沌から解放するため領主となり平和を目指す…
テオには崇高な願いがありましたが、その願いを実現させるには、あまりにその道が遠い事をテオ自身が一番良く分かっていました。
でも、例え何年かかっても実現してみせる…
そんな旅の途中、自分の本意ではない相手との魔法師の契約に向かう途中だったシルーカに出会います。
彼女は複数の兵士に襲われていました。
正義感の強い彼は当然の如く彼女を助けるのですが…
シルーカはあまりうれしそうではないのです。
テオは知りませんでしたから…
シルーカが天才と評されるほどの魔法師の才女であることを…
その才は、魔法大学にある7つの学部のうち、6つの学部を履修した勤勉家であることを…
そして彼女が聡明で頭の回転が速い努力家であることを…
爵位が騎士となり、一人の魔法師と契約できるようになったテオにシルーカは言いました。
「わたしは騎士テオの聖印と契約し、永遠の忠誠を誓います」
「私が貴方の夢の実現をお手伝いをします」
こうしてテオとシルーカの長い旅路が始まっていくのです。
最初のテオの目標は故郷の村を圧政から解放することでした。
ですが物語が進むにつれ、村どころか、国家レベルまで世界がどんどん広がっていきます。
所期の目標を達成しただけでは、真の混沌からの解放にはならない証そのものだから…
真に混沌からの解放を目指す前に、国家レベルの戦乱を何とかする必要がありましたから…
たくさんにの人の思いが交錯します。
大切な人を手放したくないから、自分の命とも言える聖印を捨てるのを厭わなかったり…
大事を成すためと自分に言い聞かせながら、自分の全てを投げ出したり…
君主を守るため…逃がすために進んで自らの命を投げ出したり…
相手に「届いて欲しい」というありったけの思いをぶつけながら壮絶な戦いを繰り広げたり…
伊達に2クールを使った作品ではありません。
「人の思い」という軸で切っただけでも見どころだらけです。
でも、一番胸を打たれたのは、君主と魔法師の関係…だったかもしれません。
確かに両者の間には契約関係があるので、お互い持ちつ持たれつという状況がゼロでは無いと思います。
でもポイントはそこじゃ無りません。
「魔法師」が仕えるべき君主をどうしたいのか…そのための覚悟と言動が私たち視聴者の胸を激しく打つのです。
確かにテオとシルーカの関係は絶対で、微塵の揺るぎもありませんでした。
でも全てが二人のようにはなれないのです。
そこで見せる矜持…この作品はこれが堪りませんでした。
あまり人物名を出すのはどうかと思いますが、伯爵のヴィラール・コンスタンスと、元契約魔法師だったマルグレット・オディウスが見せてくれた一角獣城での壮絶な戦い…
炎を祭る聖火教の巫女であるマルグレットがヴィラールのために何をしたのか…
ヴィラールが彼女の気持ちにどう応えたのか…
これも立派な愛の形だと思います。
シルーカの存在と魅力は圧倒的でしたが、全般的に年齢層の高い人たちで物語が構成されていたので、人狼の双子であるエマとルナの可愛らしさがひとしおでした。
後期のエンディングで、アーヴィンとの買い物帰り…左右の結び目が双子で違うポニーテールのおさげを揺らしながら、両手に溢れんばかりの花束を抱えて歩く後姿…可愛い以外のナニモノでもありませんでしたよ。
テオの選択した道は茨の道…
後悔と流血を避けて通すことのできない痛みと苦しみに耐えながら、シルーカと共にその道の先で何を見るのか…
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。
壮大なファンタジーの世界が視聴者を待ってくれています。
それと…起用されている声優さんも凄いですよ。
メインヒロインのシルーカ役に鬼頭明里さんを始め、上田さん、高森さん、鈴木みのりさん、中島愛さん、かやのん、あやねる…他にも旬の声優さんのオンパレード、という感じです。
オープニングテーマは、綾野ましろさんの「starry」とASCAさんの「凛」
エンディングテーマは、ASCAさんの「PLEDGE」と綾野ましろさんの「衝動」
前期の曲も格好良くて好きでしたが、後期の曲がどちらもすらばし過ぎです。
前期はカラオケ挑戦済なので、後期の2曲もカラオケで絶対挑戦したいです。
2クール全24話の物語でした。
視聴後に感じる十分過ぎる満足感…骨太ファンタジーの醍醐味が目一杯詰まった作品だと思います。
ファンタジーが好きな方にはお勧めできる作品だと思いました。