uppo さんの感想・評価
4.6
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
光のみの作品なのかも
感動し、泣かされましたね。
演出は100点だと思う。
演出が素晴らしいからこそシナリオの出来が底上げされている・・・振り返るとそんな印象を受けました。
ただ、どうしても物語(シナリオ)の評価を満点の5.0には出来ませんでした。
この作品の主要な登場人物からはほぼ純粋な想いしか感じ取る事が出来なかった。
母親の暴力も己の存在を犠牲にしてまでも出来た主人公への純粋な愛からのものだと思う。
自分が本当に求めている作品かといわれるとNOと答える。
闇あっての光であって、光だけだとそれは幻のような気がしてならないんですよね。
だから作品を見終えてから夢でも見ていたような感覚でした。
「忘れないでね、私の事。」
「忘れない。」
何度も何処かで聴いてきたセリフです。
ただ、思い出に置き換わり薄まるのが普通です。
美しい所だけ切り取るのはどうにも好きになりきれない所があります。
ちょっと前にプレイしたギャルゲで、夏からアニメが始まる作品で「ISLAND」という作品があります。↓ネタバレ注意
{netabare}愛し合ったはずの2人は時を経て再び出会い、絶対的に彼女に拒絶され相容れない関係となります。それは彼女が生きてきた環境が主人公への想いを少しずつ消していったんです。
そこから放たれるセリフの一つ一つがどうしても重く胸に響くんです。時をかけた分だけ。{/netabare}
だからこそあのセリフは薄く感じてしまいました。
とは言っても主人公は中学生。
その辺りに関しては仕方ない事なのかもしれません。
自分にとっての最大の謎は、何故宮園かをりが嘘を吐き続ける事が出来たか。中学生のメンタリティでそれは可能なのか。
この子が、主人公をピアノの道へ戻す事、デュエットをする事・・・それの為に己の命を捧げようとしていた訳ではない。
弱音は何度も吐いた。
この作品においてのhappy endはもっと主人公が彼女へ寄り添う終わり方だったのだと思う。
彼女の嘘は美しくも感動も無い。
虚無感しか残らない・・・。
本当に嘘を通すのではあれば弱音など一瞬たりとも見せず、違和感のある言動などあってはならない。
と強くも言えないのだ。
描かれてはいなかったと思うのだが、自分の好きな作品のセリフを借りると、「在りたいように在る、というのはとても難しい。」これに尽きるのかもしれない。
主人公の中へもっと行きたいという自分、彼の今後の人生を考えそれ以上の踏み込むべきではないと思う葛藤はあったのかもしれない。
キャラが死の直前に迎えると良くあるジレンマで、これは誰かが手を差し伸べる他ない。
この場合は主人公でそれが非常に悔やまれる。