oxPGx85958 さんの感想・評価
1.0
物語 : 1.0
作画 : 1.0
声優 : 1.0
音楽 : 1.0
キャラ : 1.0
状態:観終わった
私の抱いている典型的なロボット・アニメ像
何度か第1話の途中で挫折していましたが、今回がんばってシーズン1の終わりまで見通しました。私はガンダムとかの「こども向けロボット・アニメ」をほとんど見ていないんですが、本作はそんな私が抱いている典型的なロボット・アニメそのものでした。幼稚なストーリー、非現実的なキャラクター設定、大げさな演技、ダサい音楽、見るのがしんどいアニメ絵。そんな本作が本サイトでずっとランキング上位にいるということは承知しているし、私自身はこの点において外部者であるという意識はつねに持っております。
2006年の作品だから、「古い作品」ゆえの古い表現として説明できる点もないわけではない。たとえばこのCLAMP原案の絵は、いまの深夜アニメでは見かけなくなっており、いま使ったら半分ギャグになるでしょう。でも、そうした外側の部分がアップデートされていても、本質がこども向けロボット・アニメである作品はいまも作られている。個人的に衝撃だったのが『アルドノア・ゼロ』でした。あれは最初の数話はハリウッド映画と肩を並べるような作りで、作画も音楽もコンテンポラリーでかっこいいのに、話が進むにつれてロボット・アニメ以外の何者でもなと思えるようになってくる。
そんなわけで、私はこのロボット・アニメ性の本質は脚本の部分にある、と思っています。本作を見ていて、改めていろいろと考えさせられました。人がロボットの中に入って戦うという、「ロボット・アニメ」の根幹にある前提と、ほぼ必ず「貴族制のある帝国」が出てくることとの必然的な関係、とか。もちろん「貴族制のある帝国」は、ストーリーの展開の理由付けを容易にする、ファンタジー作品の常套手段ではあるわけですが。
個人的には、脚本の面でもアップデートされた、現代的なロボット・アニメの出現を強く望みます。映画『パシフィック・リム』は古い類型に敬意を払いながらも、コンテンポラリーな外見を持たせ、さらにいくつもの捻りを利かせた面白い試みだったわけだけれども、あそこまで捻ったものでなくてもいいから、もうちょっと部外者にも受け入れられやすいようなものを。ジャンルは違うが、ティム・バートン版の『バットマン』みたいなの。
で、本作の話ですが、個人的には、アイ・コンタクトを確立するだけで他人の心を操れるという凄い力を身につけたのに、それの使い方が非効率的すぎるのが最大の問題だったかと。他のすべての不自然な設定をいったん受け入れるとしても、この点があまりにも変だったので、ストーリーの展開にロジックが感じられなくなって、単にキャラクターを都合良く動かすためだけに事件が起こるという印象を与えていたように思います。